歌集巣鴨・31
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編集者
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香 港
霧はれて渚にもやふ蛋舟に静かに朝の煙立つ見ゆ 神代 勝正
朝霧はやがてうごきてヴィクトリヤピークの松の梢も見え初めにけり 青山 茂雄
病み臥る鉄窓(まど)に傾く秋の空澄み透りつつ余光は長し 吉田 朋信
リラの咲く斜りの街の夕映がうするる時を海昏れにけり 吉川 軍一
身をひそめ行水せりしささげ柵すでに黄ばみて蟋蟀の啼く 田原 巌
よもすがら荒れにし野分過ぎにけり窓ゆおし照るありあけの月 小原 直治
負ひきれぬ運命(さだめ)にわめく狂囚の眠りしのちは潮騒きこゆ 吉川 軍一
牢獄の生活(たつき)は悲し独房に悩みを語る爪文字の跡 神代 勝正
もと俘虜の視線を背に意識して三十瓩の砂負ひ登る 田原 巌
日本仔(ヤポンチャイ)とたわむれ来る子を抱き吾子を偲びて頬ずり寄する 吉田 文蔵
外つ國の児らがうたへる声遠し耳を澄ませば聞えずなりぬ 吉見 胤義
釈放も眞近になりし友の顔微笑浮びて日々に明るし 吉川 軍一
房の窓(と)のそとの島々夕霧のたなぶく見れば故里おもほゆ 吉見 胤義
五月雨るる軒端に憩ふつばくらの睦める見れば君の恋しき 同
吹上の磯の松原越えゆけば恋島(けしま)が浜に汝(なれ)たち待たむ 同
故国の母
奥山の雪解の水の溢れゐむ多摩の川辺に米とがすらむか 吉野 捷三
我ゐねば誰か拾はむたらちねの母在ます塚に積る落葉を 同
望郷の心燃えつつ幾歳か石のひとやになじみ来にけり 小原 直治
負はされし罪なりしかと鉄窓辺(まどべ)よりもれてくる光(かげ)にうらしづめゐる 同
密かにも房に飼ひゐし小さき虫息絶え果てて今朝床にをり 河部 清重
戦犯われら還送の報あり夜もすがら眞実なれと祈りあかしぬ 吉野 捷三
寄りゆきてバナナの幹に彫りつけし帰国の文字に水滴れり 田原 巌
さほどまで気に留めざりし佛桑華いま忘れがたき花とはなりぬ 徳永 徳
いざさらば夏草覆ふ獄友の塚見えずなりけり島の遠のく 小畑 千九郎
霧はれて渚にもやふ蛋舟に静かに朝の煙立つ見ゆ 神代 勝正
朝霧はやがてうごきてヴィクトリヤピークの松の梢も見え初めにけり 青山 茂雄
病み臥る鉄窓(まど)に傾く秋の空澄み透りつつ余光は長し 吉田 朋信
リラの咲く斜りの街の夕映がうするる時を海昏れにけり 吉川 軍一
身をひそめ行水せりしささげ柵すでに黄ばみて蟋蟀の啼く 田原 巌
よもすがら荒れにし野分過ぎにけり窓ゆおし照るありあけの月 小原 直治
負ひきれぬ運命(さだめ)にわめく狂囚の眠りしのちは潮騒きこゆ 吉川 軍一
牢獄の生活(たつき)は悲し独房に悩みを語る爪文字の跡 神代 勝正
もと俘虜の視線を背に意識して三十瓩の砂負ひ登る 田原 巌
日本仔(ヤポンチャイ)とたわむれ来る子を抱き吾子を偲びて頬ずり寄する 吉田 文蔵
外つ國の児らがうたへる声遠し耳を澄ませば聞えずなりぬ 吉見 胤義
釈放も眞近になりし友の顔微笑浮びて日々に明るし 吉川 軍一
房の窓(と)のそとの島々夕霧のたなぶく見れば故里おもほゆ 吉見 胤義
五月雨るる軒端に憩ふつばくらの睦める見れば君の恋しき 同
吹上の磯の松原越えゆけば恋島(けしま)が浜に汝(なれ)たち待たむ 同
故国の母
奥山の雪解の水の溢れゐむ多摩の川辺に米とがすらむか 吉野 捷三
我ゐねば誰か拾はむたらちねの母在ます塚に積る落葉を 同
望郷の心燃えつつ幾歳か石のひとやになじみ来にけり 小原 直治
負はされし罪なりしかと鉄窓辺(まどべ)よりもれてくる光(かげ)にうらしづめゐる 同
密かにも房に飼ひゐし小さき虫息絶え果てて今朝床にをり 河部 清重
戦犯われら還送の報あり夜もすがら眞実なれと祈りあかしぬ 吉野 捷三
寄りゆきてバナナの幹に彫りつけし帰国の文字に水滴れり 田原 巌
さほどまで気に留めざりし佛桑華いま忘れがたき花とはなりぬ 徳永 徳
いざさらば夏草覆ふ獄友の塚見えずなりけり島の遠のく 小畑 千九郎