歌集巣鴨・37
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編集者
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絶 叫 (死刑囚のうた)
永 別
死(しに)の場(ば)に連れ去られゆく人々を喉(のみど)乾(から)びて見送るわれは 平尾 健一
死に就くと友ら去りゆく下駄の音冴え返る夜の牢にこだます 同
(巣鴨十一首)
死に一人(ひとり)連れ去られゆきし夜の更けて息づまる如くDDTが臭ふ 同
ただ默(もだ)に死に就きにける廣田さんを思ひ出づれば夜は更けがたし 同
とほり魔にひかるる如く今宵また奥の部屋より一人死につく 楢崎 正彦
今生の別れ告げゆく君が手に最后(つひ)の煙草の火はあかかりき 同
巷には労働争議あひつげる今夜(こよひ)を君は獄に死に就く 故幕田 稔
(佐藤勇氏二首)
友一人連れ去られたる夜は過ぎて紅(くれなゐ)かなし鳳仙花のはな 同
昨夜(よべ)ここに共に坐りて唱ひしが今朝の日射に君はゐまさず 同
(大隅馨氏)
死につくと気狂ひの友あどけなく夜更けの廊を連れゆかれたり 同
默(もだ)しつつ去りしが故にひとしほに心に沁みて汝を思へり 鍵山 鉄樹
(青木勇次氏)