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歌集巣鴨・21

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通常 歌集巣鴨・21

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/8/2 10:33
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 調布水耕農場

 春浅き枯芝原に揚げひばり声はききつつしづかにあらな      大石 鉄夫

 春の野に耕す乙女遠見つつ浄らに吾れはもの思ひする      浜田 貞

 雲雀の声高くあがりて麦畑に黒穂ぬきをり母に似し人      中村 安蔵

 見張られて水耕場に働けばうらら春日を雲雀なくなり      神川 秀博

 うす霞む富士に眞向ひ畑うちて一日は了へぬ悔いなかりけり      酒井 正司

 早苗田の水はぬるみて杜の上の白雲散らず夕焼けにつつ        同

 眼くらむ照りに堪へつつ一籠の紅大根を抜きて背のびす      長田 邦彦

 時折に雷遠くどよもせる眞晝の畑に草引きてをり      星 良三

 芝生みな耕されたる飛行場跡に滑走路のみ白くのこれる      伏見 鎮

 俘虜帽子顔に載せ皆まどろみぬ銹しレールの續く草原      森 良雄

 秋の日のあまねく照らす農園に背はぬくもりて菜虫取りをり      井野 雅治

 この國に生れしものは皆かなし紫の尾の光るとかげも      寺田 清蔵

 釈放の日遠し
 この年も作立ちの野にまにあはず麦は下葉ゆいろづきにけり      清水 利行

 還る日の望みしあれば見張られて黄塵の野に堪へて耕す      神川 秀博

 コンベアーに運ばれてゆく瓶の如く吾も無表情の列のなかにゐる      大島 紀正

 暮れなづむ野面の風をしみじみと味はひにけり護送車待ちつつ      布施田 金次郎

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