歌集巣鴨・35
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編集者
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支 那 (3)
思郷・感懐
創世の時より碧き大空に琥珀(こはく)のごとき鳥一羽とぶ 桂 定治郎
(上海十九首)
彩雲(くも)の中の迦陵嚬伽(かりょうびんが)のおとし児を一人救はば業(ごう)亡びんか 同
二年(ふたとせ)の捕はれの身をみかへればいたくも心瘠せにけるか 同
念ひ来し母の喜の字も祝はずて秋早や立ちぬ離り居のままに 伴 健雄
うらぶれし妻の姿を夢に見て八咫(やさか)の歎きわれはするかも 桂 定治郎
ここにして今年も見たり雁(かりがね)は東(ひむがし)さして鳴きつれ行くも 本田 同
此の光や大和島根に昇る陽か霜冴ゆる野に照りたらひたる 山田 英雄
玻璃窓に息の凍ると何時の間に汝が名は書きし指(おゆび)冷く 永田 勝之輔
このあした若水汲むと老母が釣瓶繰らすらむ男手なしに 今野 逸郎
山峡の家の厨に立つ母の影なつかしみ味噌汁(しる)啜りけり 山田 英雄
健かに笑みます故郷の母上と久に会ひたり暁のゆめに 古谷 多津夫
運命のまま犠牲と散り果てし友さへあるを堪へませわが母 長谷川 寿夫
ちちのみの父は逝きましぬ還らざる吾れを待ちつつ父逝きましぬ 宮崎 修司
妻のみのほそぼそ耐ふるなりはひに吾子が節句は淋しからまし 富高 増木
穿き古りし破れ靴下の孔かがり妻なき春は侘しきものを 永田 勝之輔
いささかの病に臥せば妻恋しさだめはかなし秋の風吹く 富高 増木
勝たむ為めと涙も見せず別れしも何の甲斐ぞと妻のこの文 菅谷 瑞人
捕はれし二年前の今日の日も雲はみ空を蔽ひゐたりし 本田 同
嵐去りて獄(ひとや)の窓の間よりのぞける月も得こそ忘れね 古谷 多津夫
月漏るる被爆の倉庫(くら)に住み馴れて枕辺近く虫の音を聞く 小野 糺
(廣東)
夢はまだ見果てぬものをいつの間に吾娘が嫁ぐと身は古りにける 永田 勝之輔
(上海)
鉄窓に握り交はせし機関長の血の温みをば偲びたりけり 宮崎 修司
(廣東)
囚はれのさだめはかなし宵寒を異國の兵の國歌(うた)を聞きつつ 菅谷 瑞人
(上海四首)
いきどほりいづべにやらむ東(ひむがし)の涯(はたて)を見守るわれは 酒井 正司
一杯の恩賜の酒に涙せし兵のこころも罵られけり 寺田 清蔵
悲しみの身を忘れむと口誦む正気の歌の調みだれぬ 酒井 正司
人心(ひとごころ)乱れてはあれ水戸の梅は古(いにしへ)のごと咲きにたりとぞ 田中 勘五郎
さかしらに人集まりて定めたるみ國にあらずすめらみくには 加藤 三之輔
たまきはる命保てど戦犯の心の怒解く日あらむや 丸山 茂
船出づるあてのなき日を佗びつつも日向に立てば雲雀鳴くなり 安野 秀岳
うらうらに雲雀の声も聞きとめて心足らひの此の日頃かも 大西 正重
芭蕉葉に風のさやらふ音のして我に清隠(せいいん)の心きざしぬ 桂 定治郎
西空に久遠の生をのぞみつつ魔羅(まら)を握ればあたたかきかも 同