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歌集巣鴨・38

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通常 歌集巣鴨・38

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/8/20 17:27
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 季節の流れ

   春

 栲縄の生命(いのち)たもちて新年をふたたびここに言祝がむとは      故田口 泰正
                                (巣鴨八首)
 勅題「若草」
 春来しと田辺城跡の大石の間(はざま)にぞ見よ新萌小草      故井上 勝太郎

 雨止みて靄たちこむる中庭にいちはつの花散れる静けさ      北田 満能

 朝の陽のさしそふ小庭めぐりつつ糸杉わたる鶸(ひわ)の声追ふ      故榎本 宗應

 たまさかの戸外散歩よりもどり来て房の暗さをまざまざと見し      故田口 泰正

 長男の入試発表のこの夕(ゆうべ)一つ星見ゆ獄の狭窓に      故井上 乙彦

 み佛の法聞きをればおん厨子の白きえぞ菊一片落ちぬ      故井上 勝太郎

 淡黄(とき)色の金魚草の花かぎをればドロップスに似し匂ひ愛しも      故幕田 稔

 卵黄色のダーリヤは今朝おほらかに量感をもちてわが眼にせまる        同

 窓のべのあるとしもなき夕風に矢車草の紫ゆるる      佐藤 吉直

 鉄窓(まど)下に咲く紫の名も知らぬ小さき花の生命は思へ      上新原 種義

 窓のべに遺書かきをればこの夕べ庭蝉鳴きぬみぢかき声に      故成迫 忠邦

 小止(をや)みなく雨降りながら糸杉の幹の根もとに乾きたる土      故井上 勝太郎

 蠅一つしみの如くに壁を逼ふ梅雨の灯暗きわが監房に      故幕田 稔

 高塀を遠く離れて東京の午ちかき空鳶の舞ふ見ゆ      故幕田 稔

 もろ鳥のこゑの彼方に紅ゐに幾棚雲(いくたなぐも)の下べかかやふ      平尾 健一

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