歌集巣鴨・15
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編集者
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憂 國
かくあればかくあるままにたまきはるいのちのかぎり力つくさむ 荒木 貞夫
朝鮮動乱勃発 二首
戦ひは悲しき(かなしき)業(ごう)と覚えしに絶ゆる日知らにおもほゆるかも 大城戸 三治
細才千足(くわしほこちたる)の國の太刀さへや失せけるものを何に恃まむ 同
今にして劣等感を抛たずば此の民族の叡知は枯れむ 湯浅 虎夫
手を挙げていまをときめく輩なほまことしやかに愛國を云う 瀬戸山 魁
独立なき國の國旗がビルの屋根に呆けし如くはためきて居る 大西 保
はるかなる雲に夕陽のかがよへばかの慟哭は蘇り来ぬ 栗原 吉一
(八月十五日)
かの日より三年経しかばおのづからあらたに怒りの出で来てかなし 同
原爆に二十万同胞の死せる日が「平和の日」となり講和なき五年 星 良二
雄々しくも故郷守る若人は我が教え子ときくもうれしき 沼尻 茂
忍辱のなげきを胸に五年を堪え来て心尚壮んなり 河村 秀一
五たびわれ元朝を獄に迎ふれど壮心いまだ消ぬべくもなし 橋本 欣五郎
戦争の日々を傍観し過ぎしとふ偽善もとほく時代うつれり 大槻 隆
わが心祖國再建にかかるとき庭に笹生の鳴りやまぬかも 桂 定治郎