画像サイズ: 609×239 (22kB) | 山の天気はきびしい
途中、町へおりてレストランでお昼を食べた(アスパラガスが素敵においしかった)以外 朝から四時過ぎまでじつによく歩いた。宿に帰って少し休み、また街に降りていった。相変わらず暑い。どこかで遠雷がきこえる。と思ったとたん、空が真っ暗になった。雨が「ざぁっ」とシャワーのように降ってきた。と同時に涼しくなった。やれやれと思ったが、今度は気温がぐんくん下がりはじめたのである。夏姿の私はがだがた震えていた。他の人達はと見ると、てんでにヤッケやらカーガディガンを取り出して羽織っている。中には皮のジャンパーなんか着こんでいる連中もいる。気候の変化の激しいヨーロッパの人たちは慣れているのである 。 私は近くのバルに飛び込んだ。そしてなにか注文しようとするとヒゲのおにいちゃんは私になにも言わせず、なにやら作りはじめた。コーヒーカップにブランデーをなみなみと注ぎ、その上に熱い紅茶をいれ、レモンの薄切りを乗せ、お砂糖をたっぷりいれて私の前に置くと手真似でぐっとひと息で飲めという。いわれた通りにすると、やがて身体中がほかほかしてきた。恐らく、ここに着いたときの私は唇の色が青くなっていたに違いない。散歩道だからよかったようなものの、ハイキングコースだったら困ったに違いない。山岳地帯独特のきびしい変化しやすい気候というものが少しばかり理解できた。 |