画像サイズ: 640×359 (91kB) | なんとか、まだ明るさの残っているうちに、民宿「三花月」に着きました。 玄関にオバサンが待っていてくれました。 「窓の多い部屋が好きだったでしょう」と角部屋へ案内してくれました。 よもやま話のなかで 「ねぇ、斎藤茂吉さんの別荘って、強羅にあったのでしょう。何処だか知っている?」と聞きますと、オバサンは、私の部屋の窓のカーテンを開けて「ほら、この隣の家がそうよ。でも、もう売っちゃったの」と言っていました。ご子息の、故北杜夫氏の書かれたものから想像して、深山幽谷にあったのだとばかり思っていたのですが、ここだったのですね。
「温泉がねぇ、ちょっと心配なのね。もちろん、大涌谷の噴火のせい。警戒レベルが下がってさ、この頃、お客さんが増えているのに。温泉止まったら、ここも廃業だものね」と元気なオバサンがちょっと肩を落としていました。 でも、温泉に入ってみると、少し温度が下がったようですが、相変わらず、硫黄泉らしいお湯が流れてきていました。 廊下には、大きなストーブが、ガンガン燃えていました。暖冬のせいで昼間は暖かいのですが、やはり夜は冷えるのでしょう。エアコンと違い、ストーブは旅人の心まで温めてくれます。
「この部屋の「売り」は朝日よ」とオバサンが言っていたように、翌朝、朝寝なんかしていられないようなお元気な朝日が登ってきました。 |