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[No.4302] 箱根 また旅 5  再び「オバサン民宿」へ 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/01/19(Tue) 10:22
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 なんとか、まだ明るさの残っているうちに、民宿「三花月」に着きました。
 玄関にオバサンが待っていてくれました。
 「窓の多い部屋が好きだったでしょう」と角部屋へ案内してくれました。
 よもやま話のなかで
 「ねぇ、斎藤茂吉さんの別荘って、強羅にあったのでしょう。何処だか知っている?」と聞きますと、オバサンは、私の部屋の窓のカーテンを開けて「ほら、この隣の家がそうよ。でも、もう売っちゃったの」と言っていました。ご子息の、故北杜夫氏の書かれたものから想像して、深山幽谷にあったのだとばかり思っていたのですが、ここだったのですね。

 「温泉がねぇ、ちょっと心配なのね。もちろん、大涌谷の噴火のせい。警戒レベルが下がってさ、この頃、お客さんが増えているのに。温泉止まったら、ここも廃業だものね」と元気なオバサンがちょっと肩を落としていました。
 でも、温泉に入ってみると、少し温度が下がったようですが、相変わらず、硫黄泉らしいお湯が流れてきていました。
 廊下には、大きなストーブが、ガンガン燃えていました。暖冬のせいで昼間は暖かいのですが、やはり夜は冷えるのでしょう。エアコンと違い、ストーブは旅人の心まで温めてくれます。

 「この部屋の「売り」は朝日よ」とオバサンが言っていたように、翌朝、朝寝なんかしていられないようなお元気な朝日が登ってきました。


[No.4301] Re: 箱根 また旅 4 小さな観光地にバス2系統 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/01/18(Mon) 07:34
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 ケープ真鶴からの眺めです。


[No.4300] 箱根 また旅 4 小さな観光地にバス2系統 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/01/18(Mon) 07:32
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 真鶴半島が大好きになりました。もう少しゆっくりしていても良かったのですが、問題は帰りのバスです。
 30分に一度は、バスが通っているのですが、この小さな町に、箱根登山糸と、伊豆箱根系のバスが同じ路線を走っているのです。

 まだ、バスの出発まで30分あるはずと、安心していたのですが「箱根旅助け切符」が使えるバスは、今すぐ出るバスか、一時間後に出る便のどちらかしかない、と運転手さんがいうのです。
 先程より「最終バス恐怖症」に取り憑かれている私は、迷わず、このバスに乗り込みました。

 そして、小田原まで東海道線で行き、今度は、ここから強羅までの「箱根旅助け切符」の使える路線を探しました。今夜の宿は、前回と同じ強羅のオバサン民宿なのです。
 
 小田原駅前の「伊豆箱根系」のバス停、ここにも名物オバサン案内係が存在しているのです。
 そして如何にして「伊豆箱根系」の乗り物を使って目的地へ行くか(行かせるか)の相談に乗ってくれているのです。このオバサンは会社の宝です。社長さんご存じですか。
 私の場合は「伊豆箱根系」のバスで「宮ノ下か、小涌谷で登山電車(こちらは箱根登山系)に乗り換えなさい」と言われました。

 斯くして、小涌谷駅から登山電車にちょこっと乗って強羅に着きました。
 日が暮れかかってきました。夜歩きは好きじゃない。オバサン民宿は、強羅から歩いても行かれますが、一番近いのはケーブルカーの次の「公園下」駅です。ここからならば徒歩8分くらいです。もったいないけれど奮発してひと駅だけケーブルカーに乗りました。このひと駅間、電車賃はなんと80円でした。


[No.4299] 箱根 また旅 3 真鶴、俗化していない観光地 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/01/17(Sun) 08:49
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 真鶴は、近隣の小学校がよく遠足に連れて行くところです。
 有名観光地ではないのですが、風光明媚、静かで落ち着いた岬です。
 「ケープ真鶴」なんかより「真鶴岬」のほうが、ぴったりくる場所です。

 駅から、岬までは徒歩一時間。バスはありますが、外人観光客さん(欧米系)は、リュックサックを背負って闊歩しています。バスから手を振ると「ハーイ」なんて答えて陽気なものです。  
 バスに乗るのは主に日本人とアジア系の観光客です。
 私も「箱根旅助け」活用のためにバスに乗りましたが、ここは片道だけでも「歩くべき場所」と思いました。駅から岬へ行く途中にある漁港も面白そうですし、森林公園が素晴らしいのです。黒松や楠が生い茂っています。混んでいないのが嬉しいです。 
 そして、岬からの景観が楽しめます。

 ここは、絶対に、また来たい場所です。
 まさに「瓢箪から駒」の真鶴観光でしたがーーー。
 「旅」って、綿密な計画を立てて行くべきものではないですね。偶然の、図らずもの、新しい出会いや体験が面白いのですね。
 人生もきっとそうなのでしょうね。予定のコースにはない、偶然の出会いや思いがけない体験があるからこそ面白いのかもしれません。そういえば、メロウ倶楽部 からもたくさんの「新しいで出会い」を頂きました。


[No.4298] Re: 銚子電鉄で犬吠埼灯台に行ったことがあります 投稿者:唐辛子 紋次郎  投稿日:2016/01/16(Sat) 10:30
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  男爵さん、コメント、有難うございます。<(_ _)>

> >  深夜の銚子駅。こんなに初日の出ファンがいるのかと、まず銚子電鉄のホームへ向かう
> > 人の数におどろく。銚子駅は同じホームに電鉄の車両も発着するので、そのまま歩いて行けばその先に電鉄の車両が見えるので非常に便利だ。

> 私も数年前に、この銚子電鉄に乗ったことがあります。有名なローカル線です。

あっしもむかし、この銚子電鉄がすきで、たびたび銚子には行った記憶があります。海岸に立っていて、大波が来た時、頭からざんぶり水をかぶってしまったこともあります。

> ぬれせんべい、そして 犬吠埼灯台も見てきました。

 ぬれ煎餅は、あっしの最寄駅から数えて4つ目の、K駅のコンコースで、出張販売をしていたのをみたことがあります。

> 灯台を設計したブラントンは横浜でも有名ですね。

 いわゆる『お雇い外国人』のひとりですね。(^_-)-☆

> >  紋次老氏のお仲間は、なぜか急ぎ足だ。あとで分かったが、それはこの電鉄の車両はたったの一両☆なので、早くいかないと座れないのだ。見れば紋次老氏のお仲間に、老人はひとりも見当たらぬ。すべてが、20代、30代と思しき、元気いっぱいの若者で占められていた。かれらはなぜ、そう座りたがるのか。

> >  足の遅い紋次老氏は、席取りゲームに敗れ、けっきょく座れなかった。かれも、普段は電車内で立ちんぼうを強いられることも多いが、前夜から徹夜で、立ちっ放しは、老人にはやはり、つらい。もちろん。こちらが老人とわかっても、立ちあがって席を譲るものはいない。

> この点では、韓国の若者は立派ですね。日本の若者も韓国に行って彼らのマナーを見習うといい。

> >  やっと犬吠駅に到着。いなかの鉄道にしては、なかなか見事な駅舎である。駅前は温かいものを食べさせる屋台が、いくつも店を出して、呼び込みをしていた。だが、かれら若者軍団は、無言のまま、あいかわらず競歩大会を続けている。あとで分かったが、むこうでも、いい席を確保したかったからに違いない。

> >  足の遅い紋次老氏は、ハアハア云いながら、お仲間の後を必死に追った。行くつく先は、しっかし、紋次老氏の思っていた、地球の丸く見える丘の展望室ではなかった。寒さの身にしみる屋外、真っ白い灯台の近くであった。

> けっこうな距離がありましたね。

 寒かったり、疲れていたせいもありますが…。

> >  途中の屋台で寒さを追い払うため、大きなフランクフルトを食べた紋次郎氏だが、やはり尿意だけはどうにもならず、たった1軒しかないお土産屋兼食堂に飛び込んだが「この食堂でお食事をされた方以外は、トイレの使用をご遠慮願います」という冷たい張り紙

> 旅をしたり、知らない町を歩くときは
> トイレのことが最大の問題です。

  その場所が分からないだけに、よけい紋題ですね。

> > ★ だいたい、2016年の、犬吠での初日の出というのは、午前6時46分前後だというのに、なんでこんなに早くから(2時間近くも)寒さに震えながら待っていなくてはならないのか。

> 私も昔、岩手県の宮古に泊まりに行って、初日の出を見たことがありますが
> 自分で希望したのではなく、誘われておつきあいで行ったのです。

> この寒い時期に、苦労して初日の出を拝んだということは、まことに立派なことです。
>  (しかし、私にはできそうにもありません。する気もないです)

 立派というより、今までやったことがなかったので、やっただけです。毎年やろうとは、さすが物好きなあっしでも…。


[No.4297] 銚子電鉄で犬吠埼灯台に行ったことがあります 投稿者:男爵  投稿日:2016/01/16(Sat) 08:25
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紋次老さん

>  深夜の銚子駅。こんなに初日の出ファンがいるのかと、まず銚子電鉄のホームへ向かう
> 人の数におどろく。銚子駅は同じホームに電鉄の車両も発着するので、そのまま歩いて行けばその先に電鉄の車両が見えるので非常に便利だ。


私も数年前に、この銚子電鉄に乗ったことがあります。有名なローカル線です。

ぬれせんべい、そして 犬吠埼灯台も見てきました。

灯台を設計したブラントンは横浜でも有名ですね。

>  紋次老氏のお仲間は、なぜか急ぎ足だ。あとで分かったが、それはこの電鉄の車両はたったの一両☆なので、早くいかないと座れないのだ。見れば紋次老氏のお仲間に、老人はひとりも見当たらぬ。すべてが、20代、30代と思しき、元気いっぱいの若者で占められていた。かれらはなぜ、そう座りたがるのか。

>  足の遅い紋次老氏は、席取りゲームに敗れ、けっきょく座れなかった。かれも、普段は電車内で立ちんぼうを強いられることも多いが、前夜から徹夜で、立ちっ放しは、老人にはやはり、つらい。もちろん。こちらが老人とわかっても、立ちあがって席を譲るものはいない。

この点では、韓国の若者は立派ですね。日本の若者も韓国に行って彼らのマナーを見習うといい。

>  やっと犬吠駅に到着。いなかの鉄道にしては、なかなか見事な駅舎である。駅前は温かいものを食べさせる屋台が、いくつも店を出して、呼び込みをしていた。だが、かれら若者軍団は、無言のまま、あいかわらず競歩大会を続けている。あとで分かったが、むこうでも、いい席を確保したかったからに違いない。

>  足の遅い紋次老氏は、ハアハア云いながら、お仲間の後を必死に追った。行くつく先は、しっかし、紋次老氏の思っていた、地球の丸く見える丘の展望室ではなかった。寒さの身にしみる屋外、真っ白い灯台の近くであった。

けっこうな距離がありましたね。

>  途中の屋台で寒さを追い払うため、大きなフランクフルトを食べた紋次郎氏だが、やはり尿意だけはどうにもならず、たった1軒しかないお土産屋兼食堂に飛び込んだが「この食堂でお食事をされた方以外は、トイレの使用をご遠慮願います」という冷たい張り紙

旅をしたり、知らない町を歩くときは
トイレのことが最大の問題です。
 
> ★ だいたい、2016年の、犬吠での初日の出というのは、午前6時46分前後だというのに、なんでこんなに早くから(2時間近くも)寒さに震えながら待っていなくてはならないのか。

私も昔、岩手県の宮古に泊まりに行って、初日の出を見たことがありますが
自分で希望したのではなく、誘われておつきあいで行ったのです。

この寒い時期に、苦労して初日の出を拝んだということは、まことに立派なことです。
 (しかし、私にはできそうにもありません。する気もないです)


[No.4296] 箱根 また旅 2 最終バスは14時発!!!  投稿者:マーチャン  投稿日:2016/01/16(Sat) 08:24
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 肝心の通行手形「箱根旅助け」は3000円、箱根登山のフリーきっぷより安いです。
 そして、遥々営業所へ辿り着いた私に、窓口氏はとても親切でした。
 希望する行き先を聞いて該当する時刻表をルーズリーフから出してコピーして、乗るべきバスなどをマーカーで示してくれたり、いろいろなパンフレット探してくれたりーーー。
 しかし、彼の作業ぶりを見ていますと、「箱根旅助け」を買いにここまで来る人が少ないことがよくわかりました。(小田原駅で買うひとのほうが多いよし)。
 なお、この手形を持っている人には十国峠の売店で「おせんべい」を一袋もらえます。

 そこまでは大変良かった。
 窓口氏が「今日は何処まで行かれますか」と聞きますので「十国峠」といいますと、彼は直ちに「それは無理です。これから行ったのでは、帰りの最終バスに間に合いません」といいます。「だってまだお昼すぎでしょう。最終便なんて。でも、そうしたら元箱根方面へ行くバスを捕まえればいいのでしょう」といいますと「それはもっと無理です。元箱根行きの最終バスは、十国峠を14時に発ちます」。ええっ!!!
 待っている時間を利用してスマホで十国峠から熱海駅まで徒歩で行くのに必要な時間を調べますと、2時間1分と表示されました。いくら下りでも「2時間」は如何なものかと思いました。
 窓口さんは「すみませんね。バスの本数がとても少ないのです」と申し訳無さそうに言います。

 えいっ。乗りかかった船ならぬ乗りかかった周遊券。行きましよう。この「半端手形」と一緒に、何処までも。
 「いいわ。今日は「真鶴」のケープ真鶴へ行きます。今夜は箱根の強羅泊まりですから、明日早めに発って、駒ケ岳と十国峠へ行きます」と言いました。
 「でも、熱海・真鶴間、真鶴・小田原間」は弊社の便はありませんので運賃はお客さんの負担になりますが、それでもよろしいですか」と聞いてくれました。
 「いいわよ。JRでいきます。大したお金はかからないから(410円です)」と言って私は営業所を後にして熱海駅に引き返し、登りのJRで、真鶴へ向かいました。

 真鶴駅には、「ケープ真鶴行き」2つ別々の会社のバスが並んで待っていました。


[No.4295] 箱根 また旅 1  通行手形 投稿者:マーチャン  投稿日:2016/01/15(Fri) 09:11
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 前回もたった一泊の旅でしたし、箱根を全部見られたわけではありませんでした。
 で、もう一度、箱根へ行こう。幸いお正月は、お天気続きで暖かいとの予報を見て、3日−4日に行くことにしました。

 先にお話しました獅子文六さんの小説「箱根山」で、東急グループと西武鉄道グループが箱根という土俵で、がっぷり四つに組んで戦ったというお話しましたが、
 前回の旅は、この「東急系」というか小田急・箱根登山系のフリーきっぷを持っての旅でした。
 今回は、もう一方の雄、「西武系」というか「伊豆箱根系」のフリーきっぷである「箱根旅助け」という通行手形を持って、前回とは違うコースを歩いてみたいと思ったのです。

 もう一つの動機は旧臘「360度全天球カメラ」なるものを買ってしまったということにあるのです。
 このカメラが実力を発揮できるのは、見晴らしのいい広い場所なのです。
 そこで、やたらと高いところへ登りたくなってしまったわけです。

 ところがこのフリーパスを手に入れるのが大変だったのです。
 出発を熱海駅にしたためでもあるのでしょうが、まずのこの切符が買える営業所の場所がわからない。バスターミナルの端から端まで探しまわってやっと見つけたのがこの「貼り紙」です。
 くだんの営業所は、バスターミナルよりもっと先の干物屋さんの向こうの、「観光バス乗り場」の更に先にあったのです。

 ここでやっと念願の「通行手形」を手に入れることができたのです。


[No.4294] Re: 紋次老氏の大晦日は大変の二乗 投稿者:唐辛子 紋次郎  投稿日:2016/01/05(Tue) 22:18
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 深夜の銚子駅。こんなに初日の出ファンがいるのかと、まず銚子電鉄のホームへ向かう
人の数におどろく。銚子駅は同じホームに電鉄の車両も発着するので、そのまま歩いて行けばその先に電鉄の車両が見えるので非常に便利だ。この日は駅員が3,4人待ち構えていて、一日乗車券という大型の切符を売りつけられた。じっさい観光するものには有難いかも知れないが、観光客というのは、だいたい、こんな真っ暗な夜中の内にやって来るものだろうか。

 初日の出を拝んだら、そのまま帰るに決まっている。一日券は600円だが、ふつう片道乗車券はたぶん、片道150円くらいと思う。なことはまあ、どうでもいいが、

 紋次老氏のお仲間は、なぜか急ぎ足だ。あとで分かったが、それはこの電鉄の車両はたったの一両☆なので、早くいかないと座れないのだ。見れば紋次老氏のお仲間に、老人はひとりも見当たらぬ。すべてが、20代、30代と思しき、元気いっぱいの若者で占められていた。かれらはなぜ、そう座りたがるのか。

 足の遅い紋次老氏は、席取りゲームに敗れ、けっきょく座れなかった。かれも、普段は電車内で立ちんぼうを強いられることも多いが、前夜から徹夜で、立ちっ放しは、老人にはやはり、つらい。もちろん。こちらが老人とわかっても、立ちあがって席を譲るものはいない。また、この電車、乗客が全員、初日の出組と分かっている筈なのに、いちいち律儀に各駅に停車する。こんなところで、深夜に下車するものがあるとは、とても思えないが…。

 やっと犬吠駅に到着。いなかの鉄道にしては、なかなか見事な駅舎である。駅前は温かいものを食べさせる屋台が、いくつも店を出して、呼び込みをしていた。だが、かれら若者軍団は、無言のまま、あいかわらず競歩大会を続けている。あとで分かったが、むこうでも、いい席を確保したかったからに違いない。

 足の遅い紋次老氏は、ハアハア云いながら、お仲間の後を必死に追った。行くつく先は、しっかし、紋次老氏の思っていた、地球の丸く見える丘の展望室ではなかった。寒さの身にしみる屋外、真っ白い灯台の近くであった。海岸には紋次老氏のように列車を使わず、孫悟空の『筋斗雲』にでも乗って来たとしか思われない『お早いお着き組』の連中が、すでに水平線状に広がって、暗い海を眺めていた。

 途中の屋台で寒さを追い払うため、大きなフランクフルトを食べた紋次郎氏だが、やはり尿意だけはどうにもならず、たった1軒しかないお土産屋兼食堂に飛び込んだが「この食堂でお食事をされた方以外は、トイレの使用をご遠慮願います」という冷たい張り紙。「なら、一緒にやっているらしいお土産屋へ入っても、なんも買ってやんねえからな」といちおう腹は立ててみたが、それで尿意が収まるものでもない。

 けっきょく、そこで、奇妙奇天烈な『まぐろらーめん』なる丼を食し、尿意に、お引き取りを願った次第。そうはいっても、初日の出までにはまだまだ、気の遠くなるような時間★が残っている。とにかく、そとは寒いので、時々その店へ入っては、お土産を買うふりをして試食品などを、盛大に食いまくった。ところで、

  紋次老氏は、どうもヒマでしょうがないので、近所にいた警備員の服装をした男に、「だいたいお日さんてえのは、どっちの方角から昇るんかねえ」なぞと聞き、.また、いろいろ世間話なぞもして、待つこと久し。やっと予定の時間にはなったのだが、ややや、生憎なことに、海上には悪魔の腕のような、いまわしい黒雲が、まるで歌舞伎の引き幕のように、舞台前面を遠慮なく覆い尽くしていた。

 う〜ん、さては猿情報機関が紋次老氏の来銚をいち早く察知し、この挙に及んだか。さすが、敵もサルもの、ひっかき回すもの、だ。と、つまらぬことに感心し、ひとり相槌を打つ紋次老氏。しっかし、氏の周辺では、カメラのシャッター音がかまびすしく、無数のケイタイが、一斉に海上に差し向けられる。

 月に叢雲、花に風とは、よくいったものだ。たなびく、呪われた黒雲の群れは、立ち退き料でもふんだんに貰わなければ、死んでも立ち退いてやるものかと、おたがいに腕を組みながら、高みから、大天狗、小天狗のカメラマンたちを、邪悪な目つきで睥睨している。
 
 かすかに雲の切れ間から、2016年の初日の出を拝んだ人たちは、いい加減であきらめると、一人また二人という具合に、次第に立ち去り、数も減ってきた。

 ショウが終わってしまった以上、長居は無用。あとは、もと来た道をたどるしかない。ところが、紋次老氏は、そのまま、まっすぐに帰ればいいものを、電車が成田経由だったので、ついでに、成田山詣でをするべく、成田不動尊への道をたどっていた。とちゅう古い団子屋に立ち寄ったが、あまり待たされるので、お茶だけ腹に入れて、店を後にした。成田山の境内でも、長い行列に辟易し、本殿前で大勢の善男善女の姿を見るだけにして、失礼した。帰宅するともう、昼チョットすぎだった。考えてみれば、大晦日の夜から一睡もしていない。

 紋次老氏の大晦日から元日の旅は、安倍首相が二言目には口にする、例の「カツヤク」には程遠かったかもしれないが、本人にとっては忘れられない旅のひとつにはなった。

 なお途中で鼻血が出、これがなかなか止まらなくて困ったが、そのうち止まったので、まあ、どうということはない。 (おわり)

★ だいたい、2016年の、犬吠での初日の出というのは、午前6時46分前後だというのに、なんでこんなに早くから(2時間近くも)寒さに震えながら待っていなくてはならないのか。たしかに、ここは銚子市の云う様に「日本一早い初日の出」ということはあろう。それにしてもだ。なお、市のHPによれば、市内の『イオンモール銚子』からも「ご覧になれ」るんだったら、はじめからそこにすりゃあ良かったかも。

 写真は、ちょっと遠くて分かりにくいが、銚子市長自慢の初日の出である。

 ※こういう、一両切りの電車は、専紋家は、単行電車とか、単行と云うらしい。


[No.4293] 紋次老氏の大晦日は大変の二乗 投稿者:唐辛子 紋次郎  投稿日:2016/01/04(Mon) 10:15
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 緻密な頭脳の持ち主とはこと変わって、わが紋次老氏の行動は、突発的である。べつに前々から行こうと決めていたわけでもないのに、たまたま大晦日の日に、郵便ポストに舞い込んできたチラシのお陰で、急きょ決まったのが、元日に初日の出を拝むというアイデアであった。

 彼は成田に近いSという町に住んでいる。そのチラシにはこうあった。同じ千葉県の山武郡に「航空科学博物館」というのがある。

 その展望展示室へ行けば、初日の出と一番機が労せずして一遍に見られるというケッコウずくめの話だった。紋次老氏には昔から、駄々っ子のようなところがあり、なにかがしたくなると、前後の見境もなく、即実行したくなるらしい。

 早速調べてみると、そこへ行く鉄道が終夜運転をやらないらしい。車を持たない紋次老氏はあきらめざるを得なかった。しっかし、

 何かそれに代わるものはと探すと、今度は同じ千葉県の銚子で初日の出を拝むプランが見つかった。紋次老氏はこれに飛びついた。彼には初詣での体験は何度もあったが、初日の出の方は、85年のながい生涯でまだ一度もなかったのだ。彼はすぐ、計画に取り掛かった。

 だいたいこういった情報は『路線情報』からゲットするのだが、あまり早く着きすぎても、それだけ寒い思いをする時間が長くなるので、晩くに家を出るしかないと考えた。

 私鉄でJRの千葉駅へ行き、そこから銚子へ向かう。銚子からは、銚子電鉄に乗り換え、犬吠で降り、そこから観測地点へ向かう。銚子には50年位前に行ったことがある。

 最初得た情報では、犬吠に、地球の丸く見える丘展望台とかがあって、そこから観測できるようになっていた。しかし、その前に銚子行きの特急券を手に入れる必要があった。紋次老氏はどうやら、そこのところを甘く観たようだ。一応の計画は次の通り。


 私鉄の最寄り駅を12月31日23時25分に出発、千葉駅には0時20分着。私鉄の千葉駅とJRの千葉駅はいくらも離れていない。しっかし、JR千葉からが大変だ。銚子へ行く特急、『犬吠日の出1号』は、元日の午前3時丁度発である。これに乗れれば、銚子には午前4時21分には着く。

 着いたところで、銚子ではまだまだ駄目だ。ここから4時32分発の銚子電鉄に乗り、犬吠まではまだ20分近くかかる。

 とにかく辿り着いたJR千葉駅では、深夜のこととて、みどりの窓口などは、とっくに閉まっていて、駅員の姿もほとんどゼロに近い。この駅ではちょうど駅舎の大工事中で、その関係の作業員は大勢いた。しかし、彼らに相談というわけにも行かぬ。

 結局、改札近くにいた、丸い帽子のカワイイ若い女の子(ふたりいた)に相談することになった。彼女はまだ20代くらいのようだったが、何でもよく知っていて、あらゆる客(といっても、〆て3,4名ほどだったが)を見事に捌いていた。紋次老氏の乗車希望の特急は、すでに売り切れだという。1時間くらい後のでどうかというので、それでは初日の出に間に合うかどうかわからぬので困ると泣きつくと、臨時の特急があるかどうか、とにかく調べてみましょうという。

 結局その3時12分千葉発の特急はなんとかなった。この女の子はほんとうに親切で、インターネットで銚子電鉄の時刻表を調べてくれた上、必要事項をペン書きし、プリントして紋次老氏に渡してくれたのだ。しかし、時計を見るとまだ午前1時台だ。これから先の2時間をさて、どうしてくれようか。駅にいても、椅子もなければ暖房もない。

 いっそ街へ出れば、開いている酔狂な店も、1軒くらいはあるかも知れない。と、表へ出ればけっこう寒い。でも、ほかに行き場所もない。開いている店は案の定、すべてカラオケボックスか、DVDご鑑賞の店だった。両方とも趣味のない紋次老氏、ふと見つけた明かりを頼りに歩き出すと、さいわい中央公園のあたりで光のペイジェント。もちろん、深夜では見る人もいない。しかたなくカメラを出して、そのイルミネーションを手あたり次第に写し始める。それからまた駅へ戻ったが、カナシイことに、時間はいくらも経っていなかった。

 そこで今度は腹を決め、あとは駅の構内をぐるぐる歩きまわることにした。地下道なら風も来ないし、歩けばじっとしているよりは余程暖かい。同じように所在なく、そこらを当てもなくハイカイするという、不幸な星のもとに生まれたひとにも、通路で何度か出会った。

 10番線のホームというのは、千葉駅では一番外れだ。しかし番線さえわかれば、あとは安心。適当な時間に10番線のホームに上がればいいだけだ。

 やっと待望の特急列車が入って来た時は、まるで長らく会えなかった恋人にでも再会した時のように嬉しかった。この電車は大宮発で、午前4時51分に銚子駅に到着する。 (つづく)

 写真は我らが紋次老氏が、やっとゲットした、千葉駅午前3時12分発特急『犬吠日の出3号』の特急券である。
 


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