画像サイズ: 558×404 (35kB) | 「ポストバスは、ララララ グロースグロックナー山岳道路を行くよ」
翌日はポストバスで「グロースグロックナー越え」をする。前日の「東チロル街道」が「草津・野反湖越え」のような「知る人ぞ知る」玄人好みの秘境であったのに対し、このーーー東チロルの中心リーエンツから、教会で有名なハイリゲンブルートを経由して、フランツ・ヨーゼフス・ヘーエ(峠)へと走り、さらに、ここからグロースグロックナーを眺めて、ツェル・アム・ゼーに抜けるーーーというこのルートは「志賀・草津高原ルート」のようなポピュラーなものなのである。
ポスト・バスの旅は楽しい、が時間がかかる。八時二十分、リーエンツを出たバスが、ツェル・アム・ゼーに着いたのは四時近くであった。(ポストバスはヨーロッパの辺地を行くバスで、各国の郵政省の所管するバス。本来の目的は、郵便物の搬送なのだが、スクール・バスや普通の路線バスも兼ねている多目的バス。最近は、国鉄などに所管が変更になっているところも多いようだ)。
だから、テンポが遅い。村の郵便局前につくと、運転手さんは「プップー」と警笛を鳴らして郵便バスのご到来を知らせる。 しばらくすると、郵便局の中から、郵袋の乗った台車を押しながらオバサン局員が出てくる。 「まぁ、ええお日和で。あんたも、しばらく見なかったが元気かね」などとチンタラチンタラ喋り出す。ひとしきりしゃべり終わると村へ届いた郵便物を受け取って、局舎へ戻って行く。
スクールバスも兼ねているので、村のあちこちから小学生が乗ってくる。彼らもピーチクパーチクとお喋りをする。毎日の通学であろうに遠足気分なのだ。「さあさ、静かにして。ちゃんと席について」と運転手さんがいう。 こんなことを繰り返しながら、徐々にバスは峠に向けて徐々に高度を上げていく。 |