昨日のアクセス数:     本日のアクセス数:     2015.2.7 以降の累計:

 文集   2015.1.1更新

ツリーは固定式です。 新着記事から読みたい場合は [新着順記事] をクリック、
新着タイトルを新規順に一覧したい場合は [新規順タイトル表示] をクリック願います。

ツリー全体を一括表示してご覧になりたい場合は、ツリー先頭部の ★ をクリック願います。

1.雑感、随筆(エッセイ)、詩歌など、ご自分の体験されたこと、創作されたものをご投稿願います。
2.投稿は他の会話型の部屋と違い「読み物」として扱います。従ってレスは必しも付きません。
3.投稿は、出来るだけ階段式でなく並記式をお奨めします。実例を参考にして下さい。


[トップページへ] [新規投稿] [新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [ワード検索] [過去ログ]
[留意事項] [投稿の手引] [管理用] [問い合わせ]
  • 以下は新規投稿順のリスト(投稿記事)表示です。
  • 48時間以内の記事は new! で表示されます。
  • 投稿者のメールアドレスがアドレス収集ロボットやウイルスに拾われないよう工夫して表示しています。

  • [No.7548] 皇帝と革命 投稿者:KANCHAN  投稿日:2016/03/26(Sat) 20:19
    [関連記事


    画像サイズ: 239×193 (46kB)
     3月19日、錦糸町にある「すみだトリフォニーホール」に小林研一郎指揮のフィルハーモニックアンサンブル管弦楽団のコンサートを聴きに行って来た。

     演目は仲道郁代の弾くベートーベンのピアノコンチェルト第五番「皇帝」と、ショスタコ―ビッチの交響曲第五番「革命」である。二つとも私にとっては思い出深い曲である。(私が行くコンサートは大体そういうものである)

     「皇帝」は私が高校に入ったころ、本家の伯父のレコードアルバムで聴いた。以降機会があるたびに繰り返し聴いてきた懐かしい曲である。しかし、実は生の演奏を聴くチャンスはなかなか無い。当代の人気ピアニストの演奏をわくわくしながら楽しんだ。

     「革命」は、同じころ冒頭部分がNHKのある連続ラジオドラマのテーマ音楽になっていた。題名は覚えていないが、社会に出たばかりの若者群像の物語であった。当時ソビエト連邦は、朝鮮戦争を仕掛けた張本人とはいえ、ある種畏敬の目で見られていた。

     実は両曲とも、私のiPadに入っていて、イヤホーンでよく聞いている。この曲を生で聴くのは初めてだ。そして、一般の弦や管だけでなく、ハープや打楽器をフルに使いこなすこの曲を、時にピーンと張り詰めた緊張感の中で聴き入り、時に壮大な勝利の響きに圧倒され感激したものである。(7/16に江東公会堂での演奏がある)

     クラシック音楽を聴く面白さの一つは、その曲の生まれた時代的な背景を探るということがある。

     「皇帝」はベートーベン自身がつけたタイトルではないという。しかし交響曲「英雄」がナポレオンに捧げようとして作曲され、次第に爪を現わにしてきた野心家に腹を立てお蔵入りさせたという話があるが、この曲は、オーストリア皇帝、ロシア皇帝の冠が燦然と輝いていた時代の作品である(1809)。

     一方「革命」はスターリンの圧政下で作曲され、革命20周年の記念式典(1937)に初演された。当時のソビエト人民に圧倒的な喝采を浴びたという。

     ショスタコ―ビッチは共産主義政権の芸術への干渉に振り回された。初期の作品が反革命のやり玉にあがることを恐れながら、生き残りをかけてこの曲を作曲した。芸術家としての葛藤については、種々の資料が残っている。

     「革命」というタイトルも、作曲家自身が付けたものではないという。そして、現在西欧諸国で演奏される時は、単に交響曲第5番としてのみ呼ばれているという。

     而して今回、小林研一郎が「皇帝」「革命」と並べると絵になったものだ。「革命」を経て「皇帝」の冠が抹殺された歴史を思う。

     そこで、今中国で「革命」交響曲が演奏されることがあるのかと疑問に思った。この曲は両刃の剣ではないか?いや、彼等に芸術を鑑賞する余裕など無いのかも知れない。

    (2016.3.26)


    [No.7547] ボッティチェリ展を観る 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/26(Sat) 17:20
    [関連記事URL:http://http:/


    画像サイズ: 305×420 (73kB)
      やっぱりあっしの期待通りだった。去年の渋谷Bunkamuraにつづいて、今年もボッティチェリに会うことが出来、これ以上の幸せはない。あっしがこの画家と会った最初は、おそらく小学校のころと思う。あのころはもちろん,カラーなどはなく、モノクロ写真で我慢するしかなかった。さて、

     その展覧会だが、家の片付けに手間取り、上野に着いたの昼過ぎだった。金曜にもかかわらず、相変わらず人出は多かった。

     行きの電車の中でも読めるように、ちょうど数日まえ、 古書店で見つけた芸術新聞社の「ボッティチェリとリッピ」という、例のヴァザーリの「芸術家列伝」を下敷きにした、薄手の本を携行した。これは、ケッコウ役立った。

     会場には、さすがに「ヴィーナスの誕生」や「春」こそなかったが、「東方三博士の礼拝」は初見だし、素晴らしかった。ただ、作者を絵の中に描き込むのは誰もがやることで、べつにとやかくいうこともないが、一番目立つところに、全身像で出してあるのはいかがなものか。

     「美しきシモネッタの肖像」は丸紅が所蔵している由だが、色彩が実に鮮やかで、またモデルが美女なので眼福これに勝るものはないと云ってもいい。

     壁面には、世俗的なもの、宗教的なものと、色々あったが、ギリシャ神話に材を取った「パリスの審判」も面白かった。これは正にミスコンの元祖で、その優勝者に金のリンゴを授けるという話なので、あっしは前の人たちを押しのけ、そのリンゴを穴のあくほど見つめたが、そこらにいくらでも転がっているリンゴの質感が、マッタク感じられなかった。ま、これは金だから仕方ない。あと、リンゴの皮になにやらラテン語のようなものが、書きつけてあった。もしかしたら、このリンゴの賞味期限だったかもしれない。(^^♪

     あと、師のリッピ、ヴェロッキオの作品、弟子のフィリッピーノ・リッピの作品も、たくさんあった。あっしには、今まであまり馴染みのなかったポッライオーロというのも、珍しかった。また、メジチ家の家宝に、一つ一つ、ラテン語の字句が刻まれているのも、すぐ近くで見ることが出来た。

     画家の晩年をヴァザーリは、画業もほったらかしてサヴォナローラに肩入れしたため収入の道を断たれ極貧の生活をしていたなどと、書いているがこれは大うそで、死の4年前まで仕事をしていた形跡があるし、また貧しければ買えない筈の別荘まで買って、その、
    契約書が残っているそうである。

     ヴァザーリの列伝に、間違いの多いことは、いまや常識である。

     あと、付け加えておきたいのは、「アペレスの誹謗」という作品で、この画家の作品としては非常に珍しい寓意画である。この構図が面白い。誹謗は無実の髪を掴んで、不正の前へ引きづって行く。不正の側には憎悪や無知や猜疑がおり、悔悟や真実は孤立している。

     古代ギリシャに、アペレスと云う画家があり、それを他の画家が王に誹謗した。誹謗されたアペレスは自分の潔白を、王に訴えるべくそれを画にして、王へ送った(アペレスの絵は現存しない)。

     同じテーマで、マンテンニャもデューラも描いているらしいので、機会があれば、ぜひ観てみたいものだ。

     会期  2016.1.16〜4.3
    会場 東京都美術館 終わり


     


    [No.7546] Eternal Chikamatsu 投稿者:たか華  投稿日:2016/03/22(Tue) 21:13
    [関連記事URL:http://hanakagami.o.oo7.jp/

    中村七之助と深津絵里の共演。

    え〜!深津絵里が遊女に・・・? 

    どんな風に演じるのか?と興味が沸いた。

    ところが思っていたのとは違い、現代と昔の時代の違いの中に絡み合う
    男と女の世界と女同士の義理の物語だった!

    売春婦と働くハルは自業自得に駆られて橋の上に立つ。
    川の名は「蜆川」 昔遊女の涙で溢れた言われていた川の名前だ。

    雨がシトシト振り出した・・・奥から遊女が傘をさし歩いてきた。
    美しい! 七之助だ・・・
    益々に女らしさを感じ色気がにじみ出ている。遊女の名は小春。

    ハルと小春。 二人とも春を売っている女同士。

    「心中天網島」は近松門左衛門の心中ものの一つの物語。

    小春は紙屋を営む治兵衛の女房おさんから
    「夫に死んでほしくない」と手紙をもらい、自分だけが死ねば万事治まる!
    女同士の約束!と、覚悟をしていた。
    それを知ったおさんは治兵衛に、手紙を出した事を打ち明け、
    自分の着物や貯めてあったお金を渡し、小春を身請けするように頼む。

    そこにおさんの父親が来て無理やりに離縁にする。
    行き場の無くなった治兵衛は、小春と無理心中する。

    売春婦ハルは夫が借金を抱え、ハルを残して川から身を投げて死んだ。
    ハルは借金を払うために、身体でお金を稼いで払っている。

    昔も今も男女の恋の世界は変わらないが、
    今の時代はすぐに相手を殺してしまう・・・なんとも遣る瀬無い・・・

    近松の描く古い古い恋は、今の恋も通じるものがあるのかなぁ〜 


    [No.7545] Re: 古きをたずねて新しきを知る〜さよなら 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/17(Thu) 23:37
    [関連記事URL:http://http:/

      Pan さん、ご愛読を感謝します。(^_-)-☆

    >  今の全日空のマークはダ・ヴィンチのヘリコプターですね。

    旧マーク(1988年まで)としてあるものが多いですね。復刻版もあるのかも。また、全日空社の役員はいまでも、このマークのバッジを、身に付けているとも書いてありました

    >  あの絵の通りでは飛ぶはずが無いとのイチャ紋もあるようですが、あの時代に素晴らしい
    > 発想だと思います。

     鳥の研究と云えば、あのコンコルドは、トリに酷似しているのだとか。ミラノのレオナルド・ダ・ヴィンチ科学博物館には、パラシュートのスケッチがあるようですが、これなど今のと大差ありませんよ。ヘリコプタは、あっしも感心しませんが、空飛ぶ船は、単葉で、今のとそっくりです。今、講談社の、世界の博物館シリーズの15をひろげて、眺めているところです。

     また続編を書くばやいには、よろしくおねがいします。<(_ _)>


    [No.7544] Re: 温故知新、ありがとうございました 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/17(Thu) 16:50
    [関連記事URL:http://http:/

    GRUEさん、みなさん、こんにちは。

    >2月12日から1ヶ月余り楽しませていただきありがとうございました。
    読む方も大変でしたが、書かれた方はもっと大変だったことと推察致し
    ます。

     1か月余り?ひえーっ、そんなにもなりますか。では、読まされる方も大変でしたでしょうね。お察しいたしますです。

    >約100年前、明治末期から大正初期という微妙な時期の椋鳥通信でした。

    > 鴎外が、欧州から新聞、雑誌、通信社情報を手に入れて、本人の1880年代
    のドイツ留学経験を生かして、日本人向けに焼き直して発信したものですね。
    確かに現在のツィッター通信の草分けかもしれませんね。斬新なアイデアかと
    思います。

     鴎外といえば、すぐ連想するのは、大抵の方は、小説の「舞姫」か、そのモデル紋題で、「舞姫」に始まり「舞姫」に終わるというのがおおよそのようです。そこへいくと。この「通信」は、小説でないので、却って、新鮮味が感じられます。

    > で、これ、歴史的な価値も高いと思ます。丁度第一次世界大戦勃発の直前の
    緊張した時期の情報発信なのですね。

    > 大正期は、欧米から導入した多くの文明が一斉に日本人にオープンにされて
    大正ロマンの花が開きます。清新な雰囲気が漂っていた時期だと思います。
    まさにピッたりの椋鳥通信だったでしょうね。

     脱亜入欧ではありませんが、目線の先が欧(特に西欧)米に向いている人が多い中で、鴎外の目は北欧にも、中欧にも、ロシアにも、アフリカにも、均等に注がれています。特に目立つのは、墺匈ということばで、これは当時、オーストリアが強大な国で、オーストリア=ハンガリー二重帝国と称していたことを示します。この墺匈ということばについて、あっしの思うこと。

     だいたい、何かをみるとき、あっしらは、無意識の内、西欧人の目線を追っていることが多いようです。モーツァルトが馬車でプラーグへやって来た、といった具合に。ところが、東欧人の、サラエヴォ事件への反応を読むと、ふ〜ん、そういう見方もあるのか、となります。「兵士シュヴェイクの冒険」☆を読んでみてください。この本の第1巻は、なにしろ「フェルジナンドが殺されたのですって」で始まるんですから。ちょっと脳みその足りないことになっている、善良な兵士シュヴェイクは、大公殿下の体がまるで蜂の巣と聞いて「ここだけの話だが、」と前置きして「ふとった大公殿下の方がやせた大公殿下より、弾丸の当たる確率が多いわけだがね、」など、のんきなことを云っています。また、ぼくならブローニングを買う、とも。なぜかといえば、ブローニングなら「二分間に大公殿下を二十人も射ち殺すことができる」からだそうで。もっとも、これは鬼のように恐ろしい国家警察の私服、ブレトシュナイデルの、いないところでですが。

     こっち側からみれば、ふんふん、こう見えるのか。ドイツ留学生だった鴎外には、ゼッタイに、そう見えるわけは、ないでしょうが。これもまた、一つの見え方といえます。

     また「椋鳥」は、俗界のことばかりでなく、法皇や枢機卿の消息にも目を配っています。

    > 100年の間の文明の比較をしてみることは、日本という国がどう発展して
    きたか、それから教訓を得て、現在の苦悩する日本の将来への手がかりなど
    が見つかることに繋がるかもしれませんね。温故知新です。

    > ありがとうございました。今後もよろしく。

     いえいえ、こちらこそ。いつも、あたたかいコメントを有難うございます。

      ☆ 岩波文庫ハシェク作「兵士シュヴェイクの冒険」(一)


    [No.7543] 温故知新、ありがとうございました 投稿者:GRUE  投稿日:2016/03/17(Thu) 10:29
    [関連記事

    紋次郎さん、みなさん、おはようございます。

    2月12日から1ヶ月余り楽しませていただきありがとうございました。
    読む方も大変でしたが、書かれた方はもっと大変だったことと推察致し
    ます。

    約100年前、明治末期から大正初期という微妙な時期の椋鳥通信でした。

    鴎外が、欧州から新聞、雑誌、通信社情報を手に入れて、本人の1880年代
    のドイツ留学経験を生かして、日本人向けに焼き直して発信したものですね。
    確かに現在のツィッター通信の草分けかもしれませんね。斬新なアイデアかと
    思います。

    で、これ、歴史的な価値も高いと思ます。丁度第一次世界大戦勃発の直前の
    緊張した時期の情報発信なのですね。

    大正期は、欧米から導入した多くの文明が一斉に日本人にオープンにされて
    大正ロマンの花が開きます。清新な雰囲気が漂っていた時期だと思います。
    まさにピッたりの椋鳥通信だったでしょうね。

    100年の間の文明の比較をしてみることは、日本という国がどう発展して
    きたか、それから教訓を得て、現在の苦悩する日本の将来への手がかりなど
    が見つかることに繋がるかもしれませんね。温故知新です。

    ありがとうございました。今後もよろしく。


    [No.7542] Re: 古きをたずねて新しきを知る〜さよなら 投稿者:Pan  投稿日:2016/03/16(Wed) 23:21
    [関連記事

    唐辛子紋次郎さん、こんばんは。

    > お疲れ様でした。きょうで終わりです。
    >
    > 最終回は、なるべく科学に関したことで締め括りましょう。


    > だが、理系の人なら、むしろ喜んだかもしれぬ。というのは、万能の天才ダ・ヴィンチは飛行機も作りたかったので、鳥の飛翔についてはふかく研究した。その研究ノートが絵巻物のように、博物館のかなりのスペースを占領していたのだ。

     今の全日空のマークはダ・ヴィンチのヘリコプターですね。

     あの絵の通りでは飛ぶはずが無いとのイチャ紋もあるようですが、あの時代に素晴らしい
    発想だと思います。

    > また、ベークライト、防弾ガラス、ヴェズーヴィオ火山の噴火、自動交換機の発明、着色活動写真、人工宝石(当時成功したのは鋼玉類★と、ルビーの二類のみとしている)、ツェッペリンの飛行船については、3回もでてくる。あっしの、とくに
    >
    > 面白いと思ったのは、火星の運河説の否定記事と、ライト兄弟の飛行機の記事、蓄音機の意外な用途である。
    >
    > 新しい写真が発表されて、「火星に溝渠(運河のことならん)があるという虚説が破られた」とある。1909年6月の記事では、かのライト兄弟が、自作の飛行機(でなく飛行器)80機を受注したとある。蓄音機は、うまい用途を思いつかなかったのか、いわば擬音の道具として使われた。チョット勿体ないはなしだが。モスクワの芝居小屋では、犬の声、子供の泣き声、ドイツ皇帝のご前興行では、猟犬の声、ジュリアス・シーザーの芝居では、大勢の人々のどよめきを再現して見せた、と。当時は
    >
    > 盗難事件も多かったらしく、ミュンヘンの美術館では、防犯用の電気装置まで考案された。あっしの傑作だと思うのは、イタリアの発明で、金庫に手を触れると、自動的に犯人の写真が撮れるというすぐれ紋。これは早速、アメリカの銀行から注文が来たと云う。
    >
    > ま、こんなところで、失礼をさせて頂きます。長々のご愛毒を深謝いたします。
    ><(_ _)><(_ _)>                      ー完ー  

     面白い話しを堪能させて頂きました。 更に機会があったら続編もお願いします。

       ***** Pan *****


    [No.7541] 古きをたずねて新しきを知る〜さよなら 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/16(Wed) 22:21
    [関連記事URL:http://http:/

    お疲れ様でした。きょうで終わりです。

    最終回は、なるべく科学に関したことで締め括りましょう。

     鴎外もダ・ヴィンチにはとくべつ興味を持ったらしく、20行以上を費やしている。じつは先日、江戸東京博物館で、ダ・ヴィンチの展覧会があったので、両国へ行ったのだが、油彩画については、「糸巻きの聖母」のほか、めぼしいものはなく失望した。

     だが、理系の人なら、むしろ喜んだかもしれぬ。というのは、万能の天才ダ・ヴィンチは飛行機も作りたかったので、鳥の飛翔についてはふかく研究した。その研究ノートが絵巻物のように、博物館のかなりのスペースを占領していたのだ。

     鴎外はほかにも、キュリー夫人の発見したポロニウムについても、言及しているが、鴎外の記事はかなりの旧聞に属する。また、夫妻と書くべきを、キュリー夫人が、としている。

     また、ベークライト、防弾ガラス、ヴェズーヴィオ火山の噴火、自動交換機の発明、着色活動写真、人工宝石(当時成功したのは鋼玉類★と、ルビーの二類のみとしている)、ツェッペリンの飛行船については、3回もでてくる。あっしの、とくに

     面白いと思ったのは、火星の運河説の否定記事と、ライト兄弟の飛行機の記事、蓄音機の意外な用途である。

     新しい写真が発表されて、「火星に溝渠(運河のことならん)があるという虚説が破られた」とある。1909年6月の記事では、かのライト兄弟が、自作の飛行機(でなく飛行器)80機を受注したとある。蓄音機は、うまい用途を思いつかなかったのか、いわば擬音の道具として使われた。チョット勿体ないはなしだが。モスクワの芝居小屋では、犬の声、子供の泣き声、ドイツ皇帝のご前興行では、猟犬の声、ジュリアス・シーザーの芝居では、大勢の人々のどよめきを再現して見せた、と。当時は

     盗難事件も多かったらしく、ミュンヘンの美術館では、防犯用の電気装置まで考案された。あっしの傑作だと思うのは、イタリアの発明で、金庫に手を触れると、自動的に犯人の写真が撮れるというすぐれ紋。これは早速、アメリカの銀行から注文が来たと云う。

     ま、こんなところで、失礼をさせて頂きます。長々のご愛毒を深謝いたします。
    <(_ _)><(_ _)>                      ー完ー  

     ★この人工宝石の説明については、問題があるように思う。
     


    [No.7540] 古きをたずねて新しきを知る〜なおかつ 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/03/15(Tue) 22:41
    [関連記事URL:http://http:/

    のっけから不謹慎かも知れないが、取っときの、だじゃれをひとつ。その、『台無し』ってのは、いかがでやんしょう。

     もちろん鴎外先生の受け売りだが、パリのパンテオン広場に悲劇作者として有名なコルネイユの像を建てることになった。ところが請け負った予定の日になっても、その台が間に合わず、取りあえず、像をありあわせの木の台に載せて3年ほど前、形ばかりの序幕式をやった。式から3年たって、これから、その台を作るという。時間のかかる銅像のほうがさきに出来ているのに、それより簡単そうな台が、出来ていないとは、ほんとうにお粗末。ちょっと、常識では考えられぬ珍事だ。

     泉下のコルネイユも、さぞかし腹を立てていることだろう。おふらんす版「台無し」の一席、お粗末でした。

     つぎは、落語の八っつぁん、熊さんなら分かるが、やんごとなきご身分の方々の質屋がよい、貧乏ばなしをご紹介。
     

     質屋なんぞは下々の話と思ったら、セルビアのミランという名の王様が質屋通いをしておった。ま、あっしらに比べたら、質草など、かなり上等のものが相当数あったのだろうから、それほど気の毒がることもないが…。

     スペインの王妃イサベルも、大の質屋ファンであったらしく、お金に困るとダイヤを持って質屋へお出かけ。それでも間に合わないときは、ベラスケスの傑作を質に入れる。イギリスの王、エドワードも、王子のころには、ロスチャイルドなぞに借金をしたらしい。

     金欠病は伝染性なのか、どこでも同じらしく、ドイツの王ヴィルヘルム2世も例外ではなかった。やはり、王子の頃に、某伯爵から金を借りたようだ。

     以上、すっぱ抜いたのはイタリアの、ドメニカ・デル・コリエ―レ紙。この親会社、コリエ―レ・デッラ・セーラ紙は、現在でも盛業中である。ところで、

     鴎外の使う言葉には、まるで宇宙人の言葉のようなのが頻出して、その都度往生する。しっかし、以前から分からず、困っていた単語がきょう、ひとつ、やっと分かった。たぶん、正解と思う。それは響尾蛇というので、あっしはこれをガラガラ蛇と睨んだ。もっとも、相手は蛇なので、かえってこちらが、睨まれる掛りやも知れぬ。(-_-;)

                       (つづく)


    [No.7539] Re: 古きをたずねて新しきを知る〜重ね重ね 投稿者:GRUE  投稿日:2016/03/15(Tue) 11:35
    [関連記事

    紋次郎さん、みなさん、おはようございます。

    いつも面白い話題を提供してくださっていて、すごい人だなと感嘆する
    ばかりです。知識を羅列するのでなく、深く理解して消化して話題提供
    されるのはなかなかできるものではありません。

    しかし、読む方は、面白いと思っても何かコメントするのは大変です。
    どこが頭か尻尾か悩むことも多い。(笑)

    ところで、

    > むかしは印刷物に権威があって、かな釘流で書いたメモなぞ、これに比べたらまるで鼻くそといってもよかった。○〇の本に書いてあった、XXの著者も云っている、といえば、忽ち相手は沈黙、なんてシーンも数知れずあった。
    >
    >  現在はどうか。昨今のように、誰でもが簡単に発信者になれれば、ガセネタも、飛躍的に増えていく。あるところに、現在あるサイトの8割はゴミだとあった。検索してそのゴミを拾ってしまう確率は非常に高い。

    その通りかと思います。本もネット情報もゴミだらけです。ゴミの中から、
    価値のあるもの見つけ出す、それがもっとも重要かと思います。

    元気がいい、沢山出回っているのが価値が高い訳ではない。従って、価値ある
    ものを見つけ出す力をこそ学習する必要があるのでしょう。

    本に書いてあった、ネットにあった というだけでは価値はほとんどない。
    何で本やネットにあるその情報が価値があるかを自分の言葉で表現して、
    人に説得できるかで始めて価値が出て来るのではないかなと強く思う昨今
    です。

    >  「椋鳥」は印刷物でなく、統計数字に疑問を投げかけている。風景画家として名高い、あのコロの真筆で、欧州からアメリカへ輸入されたものが、しめて2849点に上るそうである。
    >
    >  いかにコロだとても、これだけ描くには、300年の歳月を要する筈だと。また云う、

    (途中省略)

    >  さらに、ジャン・ジャック・ルッソーが「新エロイーズ」の最後のページを書くに使った鵝ペンというものも、数知れず存在しているという。もし、そのすべてがホンマ紋であるとするなら、人口4100万人の街シェフィールドの住民に、鴨料理を振る舞うことが出来るだろうと書いてある。
    >
    >  そういえば、騙す、騙される話には、かならずカモだのサギだのトリが出て来るのも、フシギだ。

    あふれかえる情報を、それはゴミがほとんどになってきているが、善し悪しを
    自分で判断できる能力を付ける訓練こそが必要になってきているのでしょう。

    昨今、詐欺事件、振り込め詐欺など典型だが、が増える一方なのも、自分で
    判断する能力が衰えてきている証拠ではないですかね。


    | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40 | 41 | 42 | 43 | 44 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | 71 | 72 | 73 | 74 | 75 | 76 | 77 | 78 | 79 | 80 | 81 | 82 | 83 | 84 | 85 | 86 | 87 | 88 | 89 | 90 | 91 | 92 | 93 | 94 | 95 | 96 | 97 | 98 | 99 | 100 |


    - Web Forum -   Modified by isso