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  • [No.7507] Re: 古きをたずねて新しきを知る 投稿者:GRUE  投稿日:2016/02/21(Sun) 23:12
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    紋次郎さん、みなさん、こんばんは、

    > > piramideですね。 発音はピラミーデ ですね。
    >
    >  グルーさん、惜しい。これはaにアッチェント(強勢)があるので、ピラミーデより、ピラーミデの方が近いようです。

    その通りです。確認を怠りました。

    > のだめカンタービレのカンタービレは正しく、カンタビーレは間違いのようです。

    その通りですね。カンターレ=歌う があるので間違えやすい。
    カンタービレは「歌うように」という音楽の発想記号(副詞)ですね。

    アンダンテ・カンタービレが有名。「歩く速度で歌うように」


    [No.7506] 百聞は一見に如かず 投稿者:GRUE  投稿日:2016/02/21(Sun) 12:03
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    先日、米欧とイランとの間で核合意が成り制裁解除となった。これほどの
    180度変わるような変更も余りない。つい最近まで「悪の帝国」と呼ば
    れていた。

    日本とイランとの関係も一変してしまった。つい最近まで「ホルムズ海峡
    の封鎖危機」を煽っていた。そのための軍事力強化を叫んでいたのだ。
    今では、一転してテレビなどでイラン観光番組が組まれるような状況にな
    っている。企業なども一躍進出を目指しててぐすね引いている。

    なんという変わり身の速いこと!

    このような大転換が何故起きたかというのは、それは中東問題の核心に
    迫る長い長い話になるのだが、ここではそれはおいておきます。

    実は、4年半前、2011年6月にイランが悪の帝国扱いされているその
    真っ最中に私はイランを訪れた。

    私達は、ライフワークとして「シルクロード踏破」を続けている。途中に
    長い中断もあったが、もう40年以上も続けて、今や漸くほとんど終った。
    後は、少し道の切れたところを補強するだけである。

    ただ、イラクだけは行けてないが、当分行ける見込みはないし、多分結局
    行けないであろう。

    4年半前のイラン旅行もこの一環であったのだが、行くと友人達に言ったら、
    ほとんど異口同音に、「何故そんな危険なところに行くのか」と言われた。
    答えに窮したものである。その危険というのにクエスチョンマーク(??)
    が付くし、行ってみなければ分からないものが多々あるだろうと言いたかっ
    たのだが通用しそうになかったので止めた。とにかく「悪の帝国」キャンペ
    ーンはそれほど強かった。

    イランを取り巻く壁は厚かったのだが、越えて飛び込んでみれば、どうと
    いうこともなかった。イラン人は親日的だった。そして、日本と日本人と
    の友好関係を深めたいと思っていることをどこでも感じた。

    当時、ロシアや中国と関係を持っていて、海外旅行も中国に行っていると
    言っていた。ロシアは過去何度も戦争をしていて、いい感じを持ってない
    ようだったが、欧米が敵国扱いしているので仕方がなく関係を持っている
    と言っていた。

    日本への親近感はどこでも聞いた。「おしん」映画の人気を知った。アニメ
    も。日露戦争で同じアジアの日本が勝ったことを喜んでいると言われたの
    にはいささか面はゆかった。日本は中東では戦争をしたことがない。その
    ことが信頼感を抱かせているのは間違いない。

    韓国はその時でも関係をもっていたようだ。今では「おしん」より韓流ド
    ラマをよく見ると言っていた。電化製品の宣伝看板を田舎の都市でも見た。

    しかし、日本製品のはほとんどない。一体、日本は何をやってるんだろう
    と思った。「悪の帝国」宣伝を忠実に信じていたからかもしれない。
    とんでもない間違いを犯している気がした。

    私は、この国はイランというよりペルシャと呼びたい。日本が古代国家を
    形成して行く上で、既に寄与している。正倉院には、唐の遺物に加えて
    中央アジアの遺物もあり、更に遠いペルシャのものもある。何かロマンを
    感じる国である。

    正倉院はササン朝ペルシャ(226−651)のものが残っているが、
    ペルシャそのものは、アケメメス朝ペルシャ(前550−前330)、
    サファーヴィー朝(1501 - 1736)など、世界帝国ともいうものを建てた
    偉大な民族である。残された遺産は多くが世界遺産に指定されている。
    ペルセポリスやイズファーファン、こうした遺産を見ないでは世界史を
    語ることはできないかも。イラン(ペルシャ)が中東の大国と言われる
    所以を。

    とにかく素晴らしいものであった。15日間の旅行でバスで約3000km
    を走った。これについては、別途お話ししていきたい。

    最後に「百聞は一見に如かず」ということをつくづく感じたことを言わ
    せて下さい。


    [No.7505] 古きをたずねて新しきを知る〜4 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/02/20(Sat) 14:46
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    絵描きと云い、アーチストという。これならまだ分かりよいのですが、仮に『画人』と云ったらどうでしょうか。

     ものはためし。小学校で「キミのおとうさんはサラリーマン?」と聞いて「ちがうね、おれの親父は、ガジンだよ」と答えたら、相手は目を丸くするでしょう。「エー?ほんと、キミのお父さんて、マジンガ―?マジンガ―Zなの?」という答えが返ってきてもおかしくありません。

     ジョルジョ・ヴァザーリの著書で、イタリアルネッサンスの絵描きの列伝のタイトルが「ルネサンス画人伝」となっていました。発刊は1982年なので、これはまあ、無理もありませんが…。

     このタイトルについては、いま出ているのでは、ルネサンスが取れて、ただ「芸術家列伝」となっています。画人といい、画工といいます。これらはいかにも、職人のにおいがしますが、芸術家となるとだいぶ社会的地位が高く感じられます。

      鴎外の「即興詩人」ではたしか、画工となっていたように思います。原題にあるpittoreは英語のpainterですから、芸術家というより、ただの絵描きだと思います。

     ま、なことはどうでもいいのです。で、ここで、ふたたび鴎外の「椋鳥通信」に戻ると、

     あっしは、こんな風に思うのです。現在はあっしが、仮にイタリアルネッサンスと書けば、読者はふつう、すぐウィッキーさんのページに向かいます。そして、一瞬にしてイタリアルネサンスのアウトラインを知ります。

     マリネッティについても、あっしらは、美術史を読んで知るばかりですが,鴎外は、欧州派遣記者よろしく、即情報をキャッチ、書きとどめています。もちろんただ書きとどめるだけでなく、鴎外自身の印象や批評も書き加えているのです。こういう素早い最新の情報処理は、大げさに言えば、現在のネットサーフィンにも、繋がるものではないでしょうか。

     ほかの作家で、文壇ニュースを含め、こういったニュ―スの速報性に着目したものは、皆無に等しいのでは、ないでしょうか。

     そういう文化的なものばかりでなく、ごく三面記事的なものも、なかなか面白いものが載っています。☆たとえば、こんな記事はどうでしょう。

     あるイタリアの商人の妻が、若い男と駆け落ちをした。しかし、親戚が動いて、何とか妻を連れ戻すことに成功。そのご、二人は一応よりを戻す。ところが、そのあと、仲直りの記念にと、二人で芝居を見に行ったところ、生憎、芝居の筋書きが、駆け落ち劇を扱ったものだったようです。男は自宅へ戻ると、すぐさま拳銃で妻を射殺、そのあとすぐ自殺したという。 (つづく)

      ☆ 講談社エッセー賞などを受賞した、内田洋子さんの本に「三面記事で読むイタリア」がある。


    [No.7504] Re: 古きをたずねて新しきを知る 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/02/19(Fri) 23:25
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      GRUEさん、いつもいつも、コメント有難うございます。<(_ _)>
     
    > casertaのことですよね。カゼルタですね。カセルにはなりそうもない。

    辞書には、カセルタでも、カゼルタでも、いいように書いてありますね。もし、カセルタなら、カセルでも近いような気もします。

    > > 「ヒラミテ」には参りやした。ピラミッドくらい覚えてくれやと、云いたくもなって来ます。

    > piramideですね。 発音はピラミーデ ですね。

     グルーさん、惜しい。これはaにアッチェント(強勢)があるので、ピラミーデより、ピラーミデの方が近いようです。のだめカンタービレのカンタービレは正しく、カンタビーレは間違いのようです。

    > 音を聞いて日本式に書いたというだけでもなさそうですね。

     大分前、本を図書館に返したので、はっきりは覚えていませんが、何でも行く先々で貰ったか買ったパンフレットが集めてあって、後で文を書くときに、参照したとか。ということは、殆どが英語の資料?かも。

    > 分かりませーん。


    [No.7503] Re: わが家の節分 投稿者:あや  投稿日:2016/02/18(Thu) 21:33
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    グルーさん、こんばんは。

    読みいただいてありがとうございます。

    >
    > 節分を楽しく過ごされたようでよかったですね。
    > こちらまで楽しくなりました。

    ありがとうございます。

    >
    > > みなさんは節分をどのように過ごされましたか?
    >
    > 季節の変わり時の行事はできるだけやるようにしています。
    > 季節のけじめをつけることが生活のリズムを作る気がしますよね。
    >
    > で、まめまきだけやりました。年の数とかいうのは拘りません。
    > 実は、家では、大豆の焼いたをいつも常備していて、適当に食べて
    > います。ほわっとした香りがよくて美味しい。

    季節を考えて暮らすなんて、いいですね。
    私もそのように思いながら、暮らしているつもりです。

    なぜか、私は大豆を食べてはいけないようです。
    医師に言われているのです。
    でも、たまにはと食べますが、確かに美味しいですね。

    もうすぐ、ひな祭りです。小さなひな人形を飾ってあられなどをたべます。
    ひな餅を注文しました。

    >
    > なお、恵方巻きは特に食べません。なんとなく寿司を食べる気に
    > ならなくて。

    そうなんですか? わが家も初めてというところです。
    私はいらなかったのですが、夫が言うのでしかたなしにでした。


    [No.7502] Re: トコヤ 投稿者:ザックス  投稿日:2016/02/16(Tue) 20:02
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    GRUEさん、こんばんは、

    これはなかなか、RESが付かないかも、と思っていたら、有難うございました。

    > さすがザックスさん、おしゃれですね。それに、新しいことを始めるのは
    > 大抵ザックスさんでしたが、それも変わらない。

    たまたまヘアサロンが歩いて1分以内にあったので。

    > トコヤというか簡易髪切り派です。トコヤというのは大体混みます。
    > で、長い時間待たされる。それが好きではないのです。気が短い。

    私が行ってたとこは、待ち時間なし、だったのです。

    > で、ネットであらかじめ待ち時間を調べられて、ほとんど待たずに
    > 済み、しかも、10−15分で終わってしまう。

    ネットとはさぁすが。

    > 実は、やってくれるのは、髪切りだけ。髭剃りもシャンプーもなし。
    > それが歌い文句で、値段は1000円一寸。

    > その名もずばり「カットハウス」。こういうカット屋は他所でも
    > あるんでしょうね。

    うちの近くにもあります。

    キュービーネット - Wikipedia
    https://ja.wikipedia.org/wiki/キュービーネット

    同社が運営する「QBハウス」は、「料金1,080円」でヘアカットを行う。2014年3月までは1,000円で、内税から外税に変わったため料金が変更された。 ... 社名・店名の「QB」は、アメリカンフットボールのポジションの一つであるクォーターバックに由来する。QUICK ...

    > 手軽なので、面倒くさがりやにしては、1月に1回行ける。気分
    > 転換を兼ねて、散歩の途中とかに。

    成る程。

    > 面白いのは、逆に女性もきていること。でも、おしゃれを目指す
    > 女性には向かないかも。そのせいか、女性は年配の人です。

    へぇ〜〜

    > 一度美容院に行ってみますか?どんなところか偵察に。(笑)

    歓迎されますよ。洗髪がいい気分です。


    [No.7501] Re: わが家の節分 投稿者:GRUE  投稿日:2016/02/16(Tue) 17:44
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    あやさん、こんにちは、

    節分を楽しく過ごされたようでよかったですね。
    こちらまで楽しくなりました。

    > みなさんは節分をどのように過ごされましたか?

    季節の変わり時の行事はできるだけやるようにしています。
    季節のけじめをつけることが生活のリズムを作る気がしますよね。

    で、まめまきだけやりました。年の数とかいうのは拘りません。
    実は、家では、大豆の焼いたをいつも常備していて、適当に食べて
    います。ほわっとした香りがよくて美味しい。

    なお、恵方巻きは特に食べません。なんとなく寿司を食べる気に
    ならなくて。


    [No.7500] Re: 古きをたずねて新しきを知る 投稿者:GRUE  投稿日:2016/02/16(Tue) 17:21
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    紋次郎さん、こんにちは、

    >  まず、その最初は、この間図書館から借りた、岩倉使節団の「米欧回覧実記」で、あっしはこのうち、イタリアの部だけを拾い読みしました。回覧の内、とくに日本におけるイタリア観に焦点を絞った重要な研究(立命館大学)もあるようですが、あっしはべつに、その方面の研究者でもないので、当時の都市や国名の表記などに拘ってみました。

    岩倉使節団と言えば、明治維新後、欧米の文物を視察して、日本に取り込め
    そうなものを探したんですよね。

    英語はともかく、イタリア語はほとんど知らないし辞書も不十分でしょうから、
    都市や国名なども、発音を聞いてそれを日本語風に記述したんでしょうね。

    紋次郎さんが「なんでそうなるの?」というところですが、ほんとだ。
    耳で聞いただけだからだろうなと思えるものがほとんど。例を挙げると、

    >  イタリアの独立時に大活躍した「英傑」ガリバルディもこの本では「ガルハルヂー」や「ガルバルチー」になっていました。

    Garibaldi ガリバルディですから、イタリア語文字で書けば紛れはありません。

    > この程度は、まだ可愛いけれど、「カドレイキ」教となると、もうお手上げに近いです。
    >  カドレイキがカトリックだと分かる迄には、かなりの時間がかかりました。

    cattolico カットリコ (英語でもcatholic)、カドレイキは分からない

    > ルーザルは希少動物のサルやルー・大柴の飼っている愛猿などではなく、宗教家のルッターのことでした。

    英語ドイツ語では Luther だから ルーテルかルター、イタリア語ではLutero
    つまりルテーロ、ルーザルになりそうもないが、Lutherをルザールと発音した?
    苦しそう。

    >  ナポリから電車で40分とかいう所にあるカゼルタ(宮殿)は、「カセル」宮になっていました。

    casertaのことですよね。カゼルタですね。カセルにはなりそうもない。

    > 「ヒラミテ」には参りやした。ピラミッドくらい覚えてくれやと、云いたくもなって来ます。

    piramideですね。 発音はピラミーデ ですね。

    音を聞いて日本式に書いたというだけでもなさそうですね。

    分かりませーん。


    [No.7499] Re: トコヤ 投稿者:GRUE  投稿日:2016/02/16(Tue) 16:24
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    ザックスさん、こんにちは、

    >  何時の頃からか、多分二、三年前からだろうか、トコヤへ行かなくなった。
    > と言って調髪(何となく古い言葉)していない訳ではない。
    > 近くのヘアサロンへ行き出したのである。

    さすがザックスさん、おしゃれですね。それに、新しいことを始めるのは
    大抵ザックスさんでしたが、それも変わらない。

    >  男性の皆さんはトコヤ派ですか、それともヘアサロン(パーマや)ですか。聞かせて
    > 頂ければ幸いです。

    トコヤというか簡易髪切り派です。トコヤというのは大体混みます。
    で、長い時間待たされる。それが好きではないのです。気が短い。

    で、ネットであらかじめ待ち時間を調べられて、ほとんど待たずに
    済み、しかも、10−15分で終わってしまう。

    実は、やってくれるのは、髪切りだけ。髭剃りもシャンプーもなし。
    それが歌い文句で、値段は1000円一寸。

    その名もずばり「カットハウス」。こういうカット屋は他所でも
    あるんでしょうね。

    手軽なので、面倒くさがりやにしては、1月に1回行ける。気分
    転換を兼ねて、散歩の途中とかに。

    面白いのは、逆に女性もきていること。でも、おしゃれを目指す
    女性には向かないかも。そのせいか、女性は年配の人です。

    一度美容院に行ってみますか?どんなところか偵察に。(笑)


    [No.7497] 古きをたずねて新しきを知る〜3 投稿者:唐辛子紋次郎  投稿日:2016/02/13(Sat) 20:55
    [関連記事URL:http://http:/

     図書館で借りた文庫の「特命全権大使米欧回覧実記」はもう大分前に、返してしまったので、今度は別の話になります。先日隣町の本屋でたまたま立ち読みをしていて、何かとても面白そうな本を見つけたのです。

     それも著者が、あっしの日ごろ敬愛する森鴎外なので、もう云うことなしです。鴎外が医師であり、作家であったことは、誰でも知っていますが彼が、卓越したジャーナリストであったこと、つまり鴎外の第三の顏については 今まであまり世間に知られておらず、また言及されることもありませんでした。

     その鴎外第三の顏を、明るみに出してくれたのは、ドイツ文学者の池内紀さんで、この方には、訳書ばかりでなく、著書も数多く、その内「ゲーテさん、こんばんは」は、桑原武夫学芸賞を受賞しています。

    ☆ このめっぽう面白い「椋鳥通信」が最近まで等閑に付されていたのには、「スバル」誌に発表する際、鴎外の名でなく、無名氏の名で発表されたこと、また、書物の形で出版されることがなかった等の事情によるらしいのです。ところが、実際に読んで見るとこれが実に面白く、誰しもつい時の経つのを忘れ、夜を徹して夢中で読み耽ってしまうこと間違いありません。

     鴎外の好奇心のつよいのにも一驚しますが、家庭では良き父であり、軍医総監、作家、翻訳家であり、沢山の医学関係の書物を読破、陸軍軍人なので、天皇家や貴族との付き合いも欠かせず、まあ、よく体が続いたものだと、ただただ感心するばかりです。留学中も書斎に閉じこもるどころか、毎日外出し、内外の友人知己などと会食をしたり、ピクニックをしたりしているので、この人は一体いつ読書をするのだろうと、フシギになってきます。 

     「椋鳥通信」は、岩波文庫(平均500ページで)上中下3巻にも及んでいます。鴎外は、ご存じのようにドイツに留学していたので、いきおいドイツとの関連が強い印象がありますが、あのタイタニック号の沈没にも、モナリザ盗難事件にも、オペラ歌手のエンリコ・カルーソにも、未来派のマリネッティにも、ロダンやマーラーにも関心を持っていたと知ると、この文久2年(1862)年まれの文豪が、急に身近に感じられて来るのです。

     編者の池内さんは、鴎外のニュースソースにも触れていて、当時日本の新聞社は主として、ロイタ―通信に依っていたけれど、鴎外はベルリナー・ターゲブラットなどのほか、ドイツのヴォルフ紙なども読んでいたことを挙げていました。で、通常の新聞よりも広範囲の情報が集められ、その新鮮度も抜群に高かったのだと思います。それから、

     なぜ題名に『椋鳥』を選んだか。池内さんは不明としていますが、あっしは、新聞屋と云えば、群雀などと同じく、椋鳥も群れを成してやかましく啼き騒ぐ習性があるので、無名氏は、情報の発信者である自らを、椋鳥になぞらえたのではないかと推測しています。

     当時の文壇で、創作以外のものはすべて軽んじる風があったのも、あるいは『無名氏』というペンネームの使用に、影響を及ぼした理由の一つかも知れません。(つづく)


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