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句集巣鴨

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編集者

通常 句集巣鴨

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - | 投稿日時 2009/9/7 8:34
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 はじめに

 スタッフより

 この記録は「句集巣鴨」からの転載です。句集そのものの転載につきましては、長崎美代子様、野田絢子様のご承諾を頂戴しています。
 また、転載させていただいた経緯につきましたは、先に掲載させていただきました「歌集巣鴨」と同様ですのでご参照ください。

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 句集 巣鴨


 目  次

  序
                     
  昭和 二十年  ( 一三句)
  
  昭和 二十一年 (  九句)
             
  昭和 二十二年 ( 四七句)
             
  昭和 二十三年 (一五〇句)
           
  昭和 二十四年 (二四七句)
           
  昭和 二十五年 (三四六句)           

  昭和 二十六年 (二四九句)
        
  選者吟    (一五〇句)        

  遺作     (三六二句)
        
  あとがき  ・・・・・・・・・          


 序

 戦ひにこの國は敗れた。 その戦ひにかかはりがあったことで 囚はれ、裁かれ絞・銃の刑に處せられ桎梏され、幽囚され、重労働され、人類史上初めての「戦犯」といふものに、我々はなった。 生死に直面し、鉄窓に呻吟し幾年月を世に、肉親に隔てられて送ってゐる。 何を罪せられたかは今はまだ語るべき時ではない。 ただこの間俯仰天地に愧ぢず、挫せず、屈せず静かに民族の興亡を洞察し、人生の帰趨を諦観して、悠々の閑日月の心境に起臥してゐる。

 この心境は軈て詩俳の境である。われら俳界の輩はこの心を、この起居をそそって、かつての回想を、十七文字に潜め、凝らして獄愁を散んずるよすがとしてきた。それが積って、集ってこの句集となった。 固より千才に倥偬した身で曽て斯の道に親しんだ者は極めて尠く多くはこの境涯に入って習ひ試みたのである。而も山川風物を観察し世情に興ずるを生命とする句作を牢獄跼蹐裡の不適に為したのであって、為に未熟不完成の感を世の人々は抱くかも知れない。

 けれども斯かる心情、かかる境地の作といふことを念慮さるるならば世に溢るるものとは、おのづからその道を異にすることを見出さるると思ひもするし、しかもこれはこの國に再びあるべくもないあらしめてはならない「戦犯」の如実の記録であり、同時に俳句史上稀なる獄窓吟詠でもあり、かつは遠く大陸に、南洋に馳駆した同胞の今は四つの島に押しこめられての儚い活躍を偲ぶよすがにもならうかと些か自負するのである。

 今講和成って、この巣鴨戦犯獄にも一大異変の待望のあるままに急いで同志相諮り協力してこの句集を作り先ず刑死・獄歿の遺族に贈り携えてわが家への唯一の土産とし軈ては知友にそして世に見て貰はうと考え望んでゐるのである。

 昭和二十六年九月二十日      選者しるす

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