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句集巣鴨・41

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編集者

通常 句集巣鴨・41

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/10/21 8:58
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十六年・その七

 
  星港の秋を残して復員す                  阿部 青光                 
  蛋民の児が火を焚ける霊送り

  蝉、蝉と網戸に寄りし見えぬまま

  護送車のわれに合歓咲きカンナ咲く


  夏蟲や吾晩学の講義の座                 岩本 一孝

  この夏渡辺はま子来演(一句)
  軽やかに唄ふ火の鳥支那扇

  冷そうめん一気にすする大あぐら

  名月や膝に影置く鉄格子


  長病みの熱押し上げて夏来る               平野 平

  採血や白百合の蕊うち震ふ

  採血菅ガラつかせ来る余寒かな

  獄塀は雨に黒づみ黐の花


  囚徒打つ雨季のピンポンのみ白し             樽本 事来

  生き残る地底の蟲の音の幾夜

  獄日記秋の一句を記すのみ

  風邪熱のややあり馬太傳数章


  落雷の夜空を截れる鉄窓に佇つ              鈴木 南潮

  切西瓜固唾を呑んで配りけり

  寒の水床に散薬こぼし飲む

  口紅き婦警携げ来し寒椿


  風若葉現にわたしはここに居る               田中 稲波

  藤蔓の指せる白雲夏めける

  梅雨ぐもり思索の眼光らせて

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