句集巣鴨・24
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十五年・その三
春灯の街に浮くとき廊しづか 鈴木 紫鳳
追想(一句)
音無しの瀧吹きおろす青嵐
面会(一句)
妹を送りて梅雨の廊暗し
八月二十日(一句)
刑場に轍残りぬ夏の雨
夏痩せを吹かれ放談聲高し
玉石が塀に積まれてゐる暑さ
秋風をジープに孕み退院す
空あらば秋の己を其處に観る
敷煉瓦渡る人あり秋の聲
秋の風牢に老いゆく髪を透く
秋風に死にし毛蟲の激しき色
幾人か獄塀に倚る秋の暮
白菊の鉢に向ひて想ひなし
外套を奴のごとくかぶり来る
思鄕去って唯白々ともちの花
放心を襲ふ春塵街より来 小林 逸路
風花や晝を灯せる監視塔
汗拭くや今植えし樹が風呼んで
空を揺る糸杉の秀や晝寝癖
盂蘭盆の北空春に似てほのか
呼べば寄る鯉の尾弾く秋の光
夢もたぬ汽車寒月に吠え抗む
冴ゆる夜の悲泣わたくしごとならず
夜の冱や体温を吸う壁の白
民族の卑屈の性よ雪の唾
冴え切れば荒壁?る宵の心理
狂へる友よ泣くな師走の八日来ぬ
汽車哭けば苦きパイプを吹きて寒
寒波来空に鉄骨截る火花