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句集巣鴨・22

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編集者

通常 句集巣鴨・22

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/29 8:34
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十五年・その一


  内地帰還(三句)
  寒濤に白雲に富士浮かびけり                    原 紅泛子

  懐しき山川冬を構えたる

  身に痛き寒気と獄の友情と

  巣鴨の日日(マヌス島へ行く人ありて)
  行く人に還れる我に春浅し

  絞首台の塀にもたれて日向ぼこ

  初の面会
  感涙を外套にふせ母に逢ふ

  手枕に紙鯉仰ぎラジオ聴く

  髯のびて心貧しや梅雨故に

  かにかくに思い知らされ梅雨ごもり

  父母にいつの望みか星祭り

  GIの悲しきまでに水凍てる

  水耕(三句)
  七夕の竹おちこちに田のながめ

  汗に倦く流れ作業のトマト選る

  貨車蔭に離れ憩ふや雲雀の野

  アメリカンラグビー見物(二句)
  タッチダウンなりて外套にこごもりぬ

  足先の冷たきハーフ・タイムの閑

  颱風の近づく朝の廊を拭く

  気笛灯にきびし颱風去りたるや

  書くことの少なき便り師走入る

  老いの身に幸あれ初日やはらかく


  冱天に塔組む丸太突っ立てる                   北 三十彦

  強東風や狂暴に駆られたき意慾

  アパートは古り春泥に子ら育つ

  護国寺の甍の秀や青嵐

  彌撒終えてサルビヤ炎ゆる園に出づ

  芝刈るや五月晴なる庭廣く

  蝕める枇杷の堅葉や暑さ日日

  嫋々の尺八尚も晝寝ざめ

  打水や蜘蛛下りくる花柘榴

  ユッカの芽踏まれて土俵開かな

  烈日や狂囚房の鉄格子

  鶏頭や噴水跡のロータリー

  高檜葉に糸瓜揺れをり鰯雲

  月渡る小羊雲の高さかな

  菊今宵月金星と相寄りぬ

  木槲のひそと紅さす秋芽かな

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