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句集巣鴨・20

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通常 句集巣鴨・20

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/27 8:44
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298
 
 昭和二十四年・その九

 
  面会(一句)
  網戸へだて春衣のわが娘呼んでみる             伊藤 濤岳

  夜半の梅雨獄舎は固く閉ざされし

  監房を出てあたたかき芝に坐す                 土井 一昌

  水鏡われ恙なし暮の獄

  日ざかりをのびきったるナンカかな               柴田 仙岳
  (註ナンカとは南方の果実)

  春の風塀に巷の音遠く                      横山 紀美夫

  木は芽立ち友は憎悪の世をそしる               吉永 跣子

  投げ出した足の白さや春の燭                  寺田 夢袋

  葉柳の頬にふれつつ立話                    山上 竹泉

  五月雨や獄にひびかふ笛の音                 小林 涯山

  暗き牢に再び梅雨のめぐり来し                 額田 桂山

  爪哇オンドロス島にて
  夏潮に浮べる癩の島あかり                   作田 草塵子

  荒彫りの裸婦像立てりカンナ燃ゆ                生田 古瓢

  朝顔や垣根をのぞく蔓の先                    大島 御神火

  灼け土にとかれし鉄鎖ほふり出す                高木 風花

  炎天や罵聲の底に骨ひろふ                   溝口 烏帽子

  スコールは舗道叩きて過ぎゆきし                田中 高夫

  夏の日の立てこむ屋根のしらじらと               松田 一木

  寝返りに手のふれ合へる獄暑し                 戸田 碧浦

  消燈ふと涼風の這ひ入りぬ                    茅野 清舟

  海青く落日燦と椰子の実に                    田中 菱風

  戦犯護送船上(一句)
  星月夜恩怨波濤に捨てかへる                  古川 余花

  出て見たや病寝の窓の秋の空                  村井 諌水

  獄塀の線に落ち入る四十雀                    田崎 銀波

  獄庭や身に迫り来る蟲の聲                    小谷 かずさ

  「ゲームセット」おや蜩がないてゐる                船引 瓦全坊

  枯蓮の中に家鴨の水輪かな                    亀田 素宏

  コスモスの花の中なる幼稚園                   平野 極粒子

  刑場に轍跡あり朝曇り                       渡辺 風士春
  
  秋晴れを獄友は格子によりて言ふ                橋本 たけし

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