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句集巣鴨・14

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編集者

通常 句集巣鴨・14

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/20 9:19
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十四年・その三


  手のひらに饗(う)けて獄舎の初日影              田中 雀村

  柵一つ隔てて春立つ街ありぬ

  春雪にカーブほどよきタイヤ跡

  落椿碧潭に渦あるところ

  菊提げて女看守は出勤す

  洋菊にライター小さき炎あぐ

  霜百里鉄路は北に走りけり

  温知院碑は鉄に似て寒に入る

  寒雀寄りそってゐる黙ってる


  黙祷のまぶたに壁の初明り                    最上 鳴々子

  お降りや壁に凭る身は常のごと

  刑場に梅天昏し壁も濡れ

  日日空の蒼さかかはり百日紅

  百日紅白き巨雲に抱かれぬ

  萬象の秋めきぢつと石に腰

  獄すでに秋めき自省の身を壁に

  頑に閉されありし時雨門

  行く年や囚衣着替へることもなく


  春灯と言へどあまりに黄色な灯                  正木 鶴人

  樹の尖の落暉の紅に囀れり

  春暁の灯の黄にまた眠る

  白日の女体眩しき初夏となる

  百日紅見えて明るい雨の午後

  ????く呼吸が荒くなる

  秋の蚊に紫煙吹きかけゐる孤独

  岡田氏の訃に(一句)
  露降って死出の旅路を荘厳す

  面会の友去る(一句)
  秋風や取残されて膝を抱く

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