句集巣鴨・39
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十六年・その五
而して日かな春立つ埃風 小林 逸路
水の音鶯のうた目をつむる
Z機迅し鶯は鳴き終(しま)ひし貌
初夏の薔薇真紅に女らの笑ひ
埼玉県朝霞町キャンプドレークの作業(一句)
銀輪は陽炎へる野を来て農婦
相抱く冬木昏れどきの影濃ゆく
冬木の秀ふり仰ぎ夢を信ずべし
ものの芽を五たび巣鴨の獄に見る 鈴木 紫鳳
車前草の花ぱさぱさといかり消ゆ
千葉県三里塚芝採作業(二句)
藁屋朽ちて御料牧場の花曇り
習志野の野木瓜(のぼけ)手折りてかへり来し
風邪の耳にスプン検査の音がする
手に受けし雪を別なるものおもひ
足音は土に吸はれて凍てゆるむ
いのち生きて大き初日に眞向ふも 伊勢 一風
亡母の忌や記憶は古りて春寒し
獄六歳不惑の春の花終んぬ
弟の訃報や獄の花吹雪
星今宵望楼に影のぼりゆく
汗ふけば腋下をぬけて風のあり
独房にチャルメラの音の身にしむ夜