句集巣鴨・16
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十四年・その五
春暁の夢断つ鍵の音きびし 斉藤 一疊
蔑みの獄衣になれて春うつろ
夏めける陽射しの房に移り棲む
一疊の秋灯頓生菩提心
朝露を踏み聾囚に歩を更へず
就業の一笛焚火もえさかる
獄窓に芽柳近し友を呼ぶ 山口 老風
間引菜の露たっぷりとある重み
獄二秋今年は菊を観るゆとり
静まりて寒夜の牢に鍵の音
落魄の身に秋風を堪へんとす
行く年を妻子に會ひて落付けり
巨き蜘蛛灯影どこやら小昏くて 山口 杏太
爽やかにコーラス響く午后の校庭
落葉して遠山今朝を日のあたり
見返れど来る人もなき落葉道
想念の途切れに暖房の音還る
春灯下肉落つ手首まざまざと 本間 静水
よき月夜ものの芽立ちを覚ゆほど
排球試合(一句)
對峙する選手の顔にふる秋陽
凍て空に義姉の訃報握りしむ
摩訶般若心経ホールの寒ゆする