句集巣鴨・52
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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遺作・その六
故庄司 章樹
かるた取る第一聲や妹が聲
寒鮒の巣を見當てたり日は落ちぬ
軒並高く雪積む長岡もぐら街
佐渡吹雪沖に北鮮航海船
霜屋根に尾を振る鶺鴒鬼瓦
焼鳥通り句をすさむ人臓腑を賞で
ちぢみゆれ又ゆれ流る浜かげろふ
佐渡茜さかる野ひばり黒炊煙
かげらふやそぞろそぞろの黒牛の群
猫柳うつる堰水落しけり
猫柳のぞく古井戸哲学堂
独り待つ利根の渡船場春寒し
松島や汐汲む神の花祭り
夕立や濡れて軒端に家鴨鳴く
旭光や露に吾が身もかがやける
暮れやらぬ空高々と鬼蹁蝠
柴刈りや焚火に背炙り腹炙り
霜焼けの姉妹お手玉交し居り
年末賞與(ボーナス)や愛児に電車妻に塗下駄
歳越しの酒買ひに子は歌ひ行く
支那(二句)
黄甫江激戦遠し猫柳
春雨や車夫走るなり掦樹甫
巌かどに獅子尾逆立て鬼莿棒
獄窓に減刑の噂春の風
くるくる目ちょんちょん子雀鉄窓近く
藻屑散る捨身の斗魚に凱歌あり
鉄塀越しのマンゴーの落葉車馬の音