句集巣鴨・42
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十六年・その八
罪意識なし強東風に打ち向う 神住 童子
噂する娘らその娘らが呉れし花
出所の友へ(一句)
あたたかな雨なり君はふるさとへ
変圧器音を立てゐる桐の花 溝口 烏帽子
譴責を受け来し夜の蚊を憎む
忘れたき事忘れ得ぬ雪のふる
節分の豆ころがして獄の膳 河野 與一
つぶらなる木苺の實に鎌を振る
田島教誨師に贈る(一句)
七夕や人の情にかわりなく
孤児にしてその草笛のおどけたる 森 東洋
閉ざされし獄門錆びて蜂這へり
希望あり愚痴あり獄に暮れおそく
あの頃のあの人が好き椿好き 松山 翠巒
話の穂人に取られて梅雨の獄
八重山関(一句)
その弱き故の人気や獄相撲
さきがけてサフラン咲ける獄の庭 三上 木草子
異國船派手に夏めく埠頭かな
花棕櫚に落睴はなやぐ獄の庭
帰還に際し刑死者の墓を訪ふ(チャンギー)(一句)
夏草に小さき墓標を掘え祷る 樋口 吐美
涼風や同胞愛につつまれて
星港より帰還(三句)
雨間の虫の細音の濡れてをり 仲井 芝男
水栓の音さわやかに帰還報
船路いま祖国に近し夏の潮