句集巣鴨・40
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十六年・その六
夏痩せと言ふには餘り痩せすぎて 宮本 仁平
じっと見る斗魚が泳ぐ唯それだけ
夏痩せの鬚の虜囚の煤け面
夏痩と人に言はれてゐてわびし
風鈴や寡黙に生きることに馴れ
何もかももう何もかも晩夏なる
シンガポールより帰還(六句)
草刈るやマラッカ海を眺めつつ 横田 春歩
サロンの妓埠頭に残し帰還船
浪頭越え落ちなんとして飛魚光る
颱風のうねりに遅々と虜囚船
焼跡の未だ整はず糸瓜咲く
南國の悪夢今無し蒲團着て
椎の木に駒鳥の朝誕生日 彌生 五葉
割込みて揃はぬままの盆踊
嫂の愚痴を聞きつつ西瓜喰う
一群の托鉢僧や萩の風
老囚の監衣あせたり冬菜畑
獄に想ふ筑後河畔の寒造り
チューリップ赤し水薬飲み忘れ 森本 庵花
幾つにも区切りし池や夏柳
炎天や囚衣の色のさめ果てて
死囚房寂たりカンナ燃えてをり
朝顔に白し老囚ひげ太く