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句集巣鴨・27

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編集者

通常 句集巣鴨・27

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/10/4 8:22
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十五年・その六

 
  元沼田南方総軍参謀長踊る(一句)
  新春演藝舞に武将のかげはなし              田中 稲波

  下駄の向き乱れ陽射しは春めきぬ

  春愁に市電レールを軋む音

  獄の運動会(一句)
  薫風の空の日章旗に對ふ

  晝寝覚め窓に看守の碧い眼

  風秋を現に暮色の吾が囚衣

  水耕作業(一句)
  草紅葉夕陽さへぎるものもなし

  桐落葉ここは屍の出でし門

  責任迯避の上司の死刑を偲びて(一句)
  人を憎むこともうすらぎ冬木の芽


  帰還船にて(一句)
  航荒く月もマストに砕け狂ふ               土井 一昌

  横浜着(四句)
  冬霧の闇深く寝る日本の灯

  冬ざれのタラップ踏まへ今帰還

  感涙の車上まともに北の風

  還り来て熱き冬湯に浸りけり

  鉄扉拭く手にはやひびの生じけり

  凍とけの獄庭にきびしき夜の検査

  大根汁すでに帰還の日を重ね

  ふと消えし獄燈外は雪ふれり


  わが指のいつしか華奢に凍て易き            最上 鳴々子

  街霞いくさの記憶遠のく日

  面会(一句)
  春隣うつくしき挙措瞳にあふれ
  
  刑重き身に立春の雲うごく

  赤き屋根黒き屋根残る雪斑ら

  残雪は杉に朝風呂温泉宿めき

  所詮孤坐あるのみ時雨する夜は

  武蔵野の果てなり時雨草を去る

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