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句集巣鴨・4

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通常 句集巣鴨・4

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/10 7:57
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十二年・その二


  夕焼や生き来し方のみじめなる           太田 都塵

  訴状よんで心いためるふところ手

  たまきはるいのちながらへさくら狩          三上 木草子

  秋風に老いて我れ守る古着店

  高き塀わが打つ槌のひびく春             吉永 跣子

  寒き顔積荷の蔭に見つめ居し

  噴霧器は菜畑の青に虹えがく             笹木 勇

  独房の玻璃にとらへし雪の富士

  ゆく秋の日光は白き壁にあり             平老 同塵

  星青し夜寒の牢に灯ともりて
   
  冴返る旅宿(やど)の階下に鳴る時計       保田 志空子

  車座の話途絶えて葱煮ゆる

  鐡の扉に背をもたせをり春月夜            依田 湖燕

  凧糸を奪いし椰子のうそぶける

  炎天の獄の園濃きカンナ咲く              樽本 事耒


 サバン島収容所(一句)

  緋のカンナ見つめいまだある憤り

  芽ばえたる椰子の実植えてキャンプ去る       原 紅泛子

  恩讐を越えし瞳やさし菊に風              加藤 三之輔

  日焼子の一人は吾子に似たりけり           伊勢 一風


 セレベス島メナドの獄S君霊前(一句)

  百合の壺そっと置き替へかなしみぬ          作田 草塵子

  仰ぎみつ花火消ゆるを惜しみけり            片山 和風

  足枷の冷々として夜の深さ                寺田 夢袋

  一燈に汲む支那酒や恋守宮               樋口 吐美
   
  刑場へ太陽花(マタハリ)胸に露の路         白井 宏樹

  蝙蝠やすぐ止む雨の寺の門               足立 岳春

  梅雨晴れや壁の白さが目にしみる           西山 清風

  ゆく船のデッキ賑はし夏の月               山本 磯吉

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