句集巣鴨・30
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十五年・その九
秋光のとどかぬ窓に眞向へり 中村 桐青
霜晴の大鏡光りはねかへす
空白のひととき枯木見て居たり
死刑囚小股に歩む枯木越し
友の出所を祝して(一句)
喜びを書きつつ寂し春隣り
囀りや動くともなく大笩 田中 雀村
菊晴れや明治の子等は幸ありき
こほろぎやこの草庵に音のあまる
囚衣着て夜寒の壁に心飢ゆ
芝枯れて丘の墓みな海に向く
春泥に隊伍なかなか整はず 山口 光風
アイロンのほてり身につき春立ちぬ
朝顔の垣や鉄線ありし跡
枯芝に暫しの憩ひ釈放談
寒の雨凝視めて暫し休らへり
紫陽花や窓談笑の灯をこぼす 正木 鶴人
水耕農場(一句)
月見草明治の汽車が笛鳴らす
コスモスへ痩躯吹かれしごとく来る
木枯や飴屋生くべき鼔を鳴らす
地をけづる鶴嘴閃々と冬日の中