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句集巣鴨・17

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通常 句集巣鴨・17

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/24 7:59
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十四年・その六


  死刑房にて(一句)
  火蛾舞ふやわが魂ここに追ひつめられ          白井 宏樹

  帰還船上(一句)
  昭南と呼ばれし港星月夜

  堪えて来し喜び雪の富士指しぬ

  祖国上陸(二句)
  歓迎を泣く瞳に祖國霞みたり

  十一年振り祖國の雪
  降る雪は爪哇を遠くはなれけり


  春潮のひたと離宮の沈舟                   岩崎 苔郎

  逝く人のありて囚舎の朧月

  亡き父の咳に似たるに振り向きぬ

  廃苑の大樹に猛し百舌鳥の聲


  年玉は友が手製の牢日記                   保田 志空子

  牢三年われまだ若し初鏡

  蝿打ってつのる怒をまぎらしぬ

  秋雨の庭に大きな足の跡


  わが想ひ亡き人にありちちろ鳴く               市橋 想子

  囚列は皆黙然としてしぐれ

  逆巻きて興安吹雪視界断つ

  凍てる夜を背に感じつつ待つ點呼


  於 サバン島 (二句)
  トーチカをおほふパパイヤ熟れしまま              木原 清人

  メラピーの地鳴りにゆるる花火焔  
  (註 メラピーとは火山)

  於 スマトラ島(二句)
  水牛の宴掠奪結婚なりと言ふ

  蟲放つ庭木の枝を選びけり


 

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