句集巣鴨・37
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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昭和二十六年・その三
ここはここだけの年賀やかしこまる 原 紅泛子
スガモの庭(十二句)
スイトピーの蔓雨雲にいどみつつ
ぐつしよりと梅雨のベコニヤ濡れ乱る
低き陽の虞美人草に蝶白し
風そよぎグラヂオラスに蝶交む
垂れ乱るグラヂオラスに豪雨去る
向日葵に網戸開ける窓眩し
朝日さししばしを菊に歩むなり
カナリヤはひそと小菊の黄が咲けり
氷浮く池のいつまで昃りをり
石小橋古りて影置く濃紫陽花
金魚の仔見んとつつじに跼りぬ
つつじ咲き水をいろどり金魚かへる
遠野火も見え妻と居し夢なりき 北 三十彦
春水に試歩の煙草を投げて行く
駒鳥や茶をのみさしに主留守
陽炎に狂妄の眼うつろなる
陽炎や試歩を扶けて刑務官
山吹に手術室より来る斜光
春深し奥多摩晴れてささ濁り
時に死も妬まし松葉降りしきる
あるものは大地を刺して松落葉
夏めくや蒸れし香ひの蒒ひ土
闘志尚あり夕立の窓に立つ
掌をそれし蚊を見送りて今日も無為
ここはここだけの年賀やかしこまる 原 紅泛子
スガモの庭(十二句)
スイトピーの蔓雨雲にいどみつつ
ぐつしよりと梅雨のベコニヤ濡れ乱る
低き陽の虞美人草に蝶白し
風そよぎグラヂオラスに蝶交む
垂れ乱るグラヂオラスに豪雨去る
向日葵に網戸開ける窓眩し
朝日さししばしを菊に歩むなり
カナリヤはひそと小菊の黄が咲けり
氷浮く池のいつまで昃りをり
石小橋古りて影置く濃紫陽花
金魚の仔見んとつつじに跼りぬ
つつじ咲き水をいろどり金魚かへる
遠野火も見え妻と居し夢なりき 北 三十彦
春水に試歩の煙草を投げて行く
駒鳥や茶をのみさしに主留守
陽炎に狂妄の眼うつろなる
陽炎や試歩を扶けて刑務官
山吹に手術室より来る斜光
春深し奥多摩晴れてささ濁り
時に死も妬まし松葉降りしきる
あるものは大地を刺して松落葉
夏めくや蒸れし香ひの蒒ひ土
闘志尚あり夕立の窓に立つ
掌をそれし蚊を見送りて今日も無為