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句集巣鴨・15

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編集者

通常 句集巣鴨・15

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/9/21 8:58
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 昭和二十四年・その四


  風鈴の白き短冊舞ひそめぬ                 東木 尾山

  獄壁に今日蟻一匹の友があり

  鶏鳴きて鳳仙花ほろとこぼれけり

  行く秋を寂しむ友の手の温さ

  街の灯を冬木すかして眺めけり

  とがり芽の凍に堪えてある生命

  鉄柵の凍れるままに日の昏るる

  榾の火に翳す手首に獄の痩


  獄庭に肥るパパイヤ雨季最中                小柳 八條

  チピナン獄よりオンロス島(六句)
  鉄門を出づればネムの並木風

  手を振る子バナナ頭にのせたまま

  マンデーの流れに女群手を振れる
         
  草刈器音はずませて方向(むき)かへて

  美女跣足サロン短かにかけよれる

  囀りの止みてトッケイ鳴く獄舎

  チタサネ號にて横浜に向ふ(一句)
  雲の峯チタサネ號は進路北


  春雨や帰房の襟にあるしめり                 高橋 丹

  春雨に濡れ来し囚徒火を恋ふる

  刑場の壁しらじらし秋の風

  試歩の目のまづ注がるる葉鶏頭

  碁に更けてぼそりとあすの霜を言う

  生活苦告ぐるたよりや霜固く

  北風におのづと塀に添ひ行けり

  小春日や絆たちたる塀なれど

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