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句集巣鴨・51

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編集者

通常 句集巣鴨・51

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/11/2 7:55
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 遺作・その五

  故青木?一郎


   湯豆腐は美しうまし楽しかり

   雪掻きや山三つ出来てお茶となり

   その癖の指鳴らし兄爐に座る

   炭出しや霜の山坂踏み馴れて

   紅ジヤケツ着る幼子犬張子と日向ぼこ

   復興の歩み綴らん日記買ふ

   子の背に帰へる辨慶の大凧が

   羽根上げて彼の女の瞳更に美くし

   独楽笑ひ崩れる様に止りけり

   独樂操る子構へつ眉宇の輝ける

   羽子追ふ子赤い手袋赤りぼん

   お隣家は寒鮒賣る*貼れり        *マス 正方形に対角線1本の枡形

   面脱れば湯気の微笑や寒稽古

   節分やにらむ達磨に豆降りぬ

   豆まきやありたけの声噛つく目

   福は内眞似るや吾子のちゃんちゃんこ

   目と口と手をつけて見るつくしん坊

   ごまよごしおひたし汁の実芥づくし

   猫ぐつくい大きく伸びて下もえる

   獄窓に唯白雲や年ぞ逝く

   高塀に雲湧く獄の年は暮る

   日々の身に重刑の年ぞ逝く

   クリスマス獄裡嘗胆三週年

   独房や運命の鞭の年ぞ明く

   元日や獄裡の壁に忍と彫り

   初日の出獄の日壁光りそむ

   パパイヤの太りて新春の白雲一片

   母と會はんせめて初夢に獄裡吾れ

   屠蘇なくも茶立ち目出度し獄の午

   獄の新春死囚残命を尚淡々

   鉄窓に見よ初御空の蒼さかな

   獄衣洗ひ済ましてふと見る凧一つ

   腕振る頭振る春風に死囚(とも)旺ん

   飼はるとも斗魚は断呼斗魚なり

   絶句
   捕はれて突かるも斗魚は斗魚なり

   明日共に散る戦友の寝息や春の雨

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