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捕虜と通訳 (小林 一雄) (50)

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通常 捕虜と通訳 (小林 一雄) (50)

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2008/3/22 8:07
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 第三章 贈られた友情の「身分保証文」・その2

 フリニオ中佐からこんなありがたい手紙をプレゼントされて数日後、こんどは日本軍側との連絡将校として多奈川、生野両収容所で暮らしたアメリカ陸軍のガルブレイス大尉(JOHN・M・GALBRAITH)から、同じく手書きの次のような手紙を直接、受け取った。
 「関係各位殿、親愛なる通訳、小林一雄氏を紹介します。小林氏は多奈川、生野両捕虜収容所を通じ、紳士的に振舞い、われわれアメリカ兵捕虜の心を体して行動してくれました。彼のおかげで心も和み、明日への希望をつなぎながら今日を迎えることができました。
 あの制約された環境の中で、最大限の誠意ある行為でわれわれに接してくれた小林氏こそ、こんごあらゆる面で厚遇を与えられるべき人だと信じます。彼と接したすべてのアメリカ人捕虜は、彼の心やさしい行動に本当に感謝していることを明らかにしたいと思います」
 この手紙を私に手渡した彼は「もし何かハプニングがあった場合は必ずこの手紙を見せなさい。きっと役に立つから…」と強調したことを覚えている。「感謝します。ありがとう。皆さん方、掃虜だった人びとのこの心を永久に忘れません」と私は、彼の手を固く握りしめた。
 終戦から二年も経った二十二年(一九四七)一月十三日には、さらにびっくりするようなできごとがあった。かって多奈川収容所で生活し、私とも親しかったアメリカ陸軍のA・W・フォーブス大尉(ALFRED・W・FOBES)が、すでに日本占領アメリカ軍キャンプで通訳として勤務していた私を訪ねてきたのである。しかもいったん本国に帰国したあと、こんどは占領軍総司令部(GHQ)大阪司令部の法務局勤務将校としての来日だったのだから、びっくりさせられたのは当然だろう。
 その彼が私を探し求めて訪ねてきた。そのさい、また〝友情と親愛のこもった手紙″を持参して私に手渡したのには、さらに驚かされた。

 「関係各位殿 私は一九四四年七月一日から一九四五年三月二十七日まで多奈川捕虜収容所で生活し、通訳をしていた小林一雄氏と知り合いました。その間、小林氏はわれわれ捕虜にすばらしいマナーで接してくれました。とくに捕虜の福利厚生面には特別配慮し、気をつかってくれました。それはわれわれに多大の恩恵を与えてくれたものです。
 彼の通訳としての知識。すばらしい能力のおかげで不利な立場にあった数多くの捕虜が救われました。つまり多くの捕虜が収容所の他の日本人職員から何らかの方法で大なり小なり殴られたり、処罰され、いじめられることのないよう、彼はその心やさしい行為で助けてくれたのです。このことは全捕虜が周知の事実です。
 小林氏こそ、こんご配慮ある厚遇が与えられるに値いする人物であると信じます。この点を考慮し、十分な配慮が彼に与えられるようお願いします」これがその内容だった。
 フォーブス大尉は、連合軍総司令部の指示で法務局員として日本人の戦犯調査を専門に担当しており、結局、私はこの彼の来訪によってとくに請われて彼の通訳として約十日間、旧捕虜収容所を中心に関係者を巡回したのである。いずれにしろ、捕虜収容所時代に彼が私を、この手紙にあるようにみていてくれたことを心から感謝した。あの時代からの異邦の親友の一人として尊敬している。

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GENERAL HEADQUARTERS
SUPREME COMMANDER FOR THE ALLIED POWERS
OSAKA BRANCH

13January1947

TO WHOM IT MAY CONCERN:
I,Alfred W・Fobes・0-459670・Captain,U・S・ARMY,and a former POW for 3 and half years acquanted with Kazuo KOBAYASHI whow as an interpreter in the Tanagawa Prisoner of War Camp at Tanagawa, Japan from July l,1944 until March27,1945.
During the period that KOBAYASHI was interpreter in the above camp he conducted himself in an excellent manner and took an exceptional interest in the welfare of the Prisoners of War there. By reason of his intelligence and his ability to be tactful it was Well known by the prisoners that on many occasions he was able to save them from being beaten up and punished in other ways by other Japanese officials in camp.
I sincerly believe that Kazuo KOBAYASHI is worthy of any consideration that can be given him.

ALFREDW.FOBES
Capt.U.S.ARMY

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