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疎開児童から21世紀への伝言 6

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編集者

通常 疎開児童から21世紀への伝言 6

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2010/5/25 8:21
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

仮想ブログ「太郎伝説」・その2

 清野登代松(西潮田校)


一郎から太郎へ 「いじめ」

 いじめられたら仕方ないよ 忘れることだな
 尤も 忘れるのはいじめた方で
 いじめられた方は墓場まで覚えているもんだけど
 いじめた方だって悲しかったんだよ


太郎から一郎へ 「戦争には勝てるのか」

 質問します 新聞もラジオも先生も「この戦争は必ず勝つ」と言っていますが
 本当でしょうか信じられません 未来から教えてください


一郎から太郎へ 「戦争の結末」

 本当のことを言おうこの戦争は負ける その時期は来年八月だ
 陸軍も海軍も戦うだけの力はもう残ってないんだ


太郎から一郎へ 「アンコロ餅」

 年の暮れ受け入れ先でお餅を搗いてくれました
 アンコをからめたアンコロ餅を作ってくれました
 あんまり美味しかったのでその感激を翌日学校で作文に書きました
 「清野君はアンコが好きなのね」と先生のコメント
 好きか嫌いかの問題ではないのです
 なにしろ砂糖が不足しています
 子供たちは甘いものに飢えているのです


太郎から-部へ「ウサギ昇天」

 ある日土地の子供がめいめいにウサギを抱いて登校してきました
 さすが農家の子供は動物好きだと関心しましたが
 それが全く的外れなことは下校時に判りました
 校門の前に何やら人だかり
 何と衆人環視の中でウサギを殺していたのです
 耳で吊るしてハンマーで一撃
 ウサギの赤い目はみるみる灰色に変わります
 後ろ足で逆さに吊るして ノドを掻き切り 血を抜きます
 このために辺りに漂う血脹さつたらありやしません
 殺したウサギはすぐに皮を剥いで肉と皮を別々に積み重ねます
 ウワサではこの皮は航空兵の防寒着に使うのだとか
 日本の軍用機は与圧とか暖房が貧弱なので 無いそうだから
 富士山より高い上空数千㍍だと さぞ寒いんでしょう
 将来何も食べるものがなかったら ウサギを食べましょう
 そのときこの情景は役に立つかもしれません


一郎から太郎へ 「ウサギの続き」

 日本人は魚を捌くのは得意だけど
 四つ足の動物を殺すのは不得意だから 役に立つかもしれないね
 中国に派遣された日本兵が 現地人から生きた豚をもらって
 食べるのにすごく苦労したという話を聞いたことがある
 ところで大量のウサギの血は何に使うのだろう
 当たっていないかもしれないが
 乾かして鶏のエサに混ぜると色の濃い黄味のタマゴを生むらしい
 肉はソーセージにでもして戦地の兵隊さんに送るのかも
 このようなことウサギに話したら
 「俺の目の赤いうちはそんな勝手なまねはさせねえ」と
 すごまれました

 

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