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疎開児童から21世紀への伝言 10

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編集者

通常 疎開児童から21世紀への伝言 10

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2010/6/5 7:56
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 仮想ブログ「太郎伝説」・その5

 清野登代松(西潮田校)


 太郎から一郎へ 「終戦」

  八月十五日のお昼ごろ学級担任から近くの神社に集まれと伝令が飛ぶ
  先生を真ん中に円陣を組み先生の話を聞きました
  「日本はこの戦争に負けてしまった悔しい話だ」と
  涙ながらに話すと 級友の一人がもらい泣きしていました
  僕は悲しいよりむしろ先行き不安のことが心配で泣くどころではありませんでした
  ただ歴代天皇の暗誦からは解放されたと思いました


 一郎から太郎へ 「海軍さんの疎開」

  海軍さんは正に陸に上がった河童だ


 太郎から一郎へ 「松根油」

  石油がない日本は代替燃料として松根油を開発しようとした
  通学路にそれらしい工場があり 入口には松の切り株が積まれています
  でも製品を運び出すところを見ることはありませんでした


 一郎から太郎へ 「松根油」

  松根油の開発は失敗したのだろう 大体植物油というのは繊維が多く固まりやすくて
  エンジンには使いにくいものなのだ
  そんな燃料で空中戦なんか出来ないよ


 太郎から一郎へ 「帰浜」

  十一月 貨車の手配が出来たので 鶴見に帰るときが来た
  満員の東北本線の夜行列車で鶴見に着いた 駅前は焼け野原
  鶴見の家は幸運にも焼けなかった
  その代わり見ず知らずの焼け出され一家がころがりこんで生活している
  このことについて記述するとさらにページが増えるので省略する
  京浜国道を米軍のトラックが唸りをあげて疾走する
  トラックの大きさとそのスピードから国道を貨物列車が走っているのかと見まごう
  その機動力を目の辺りに見たとき
  こんな国と戦争したのかと負けたことに納得する
  片や日本ではゼロ戦の機体を荷馬車で運んだというのに


 太郎から一郎へ 「ブログ閉鎖しますよー」

  疎開が終わったのでこのブログは閉鎖します
  一郎さんたくさんの書き込み有難うございました


 後記

  ブログの何たるかを知らない方にとって、この文はイメージしにくいだろう。
  だが、くれぐれも仮想と仮装を混同しないように。

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