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疎開児童から21世紀への伝言 9

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通常 疎開児童から21世紀への伝言 9

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1
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2010/6/3 7:54
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

仮想ブログ「太郎伝説」・その5

 清野登代松(西潮田校)


 太郎から一郎へ 「縁故疎開」

 新学期になるころ鶴見の家族は父の郷里に縁故疎開することになりました
 父が鉄道員のため家財道具一式を十五トン貨車に積み込み 運びました
 ヌカミソの甕も運んだのですが 上に炭俵を載せたため
 炭の粉が甕に入って ヌカドコが真っ黒になりました
 ダイコンがナスのように黒く染まるほどでした
 これぞまさにヌカヅケカルボナーラです
 郷里は福島県安達郡熱海町熱海の名の通り温泉町です
 町といっても鄙びたところで 温泉宿はいくつかありますが
 みんな東京日暮里第ナントカ国民学校の表札がかかっています
 町には公衆浴場みたいな温泉場が二軒あります
 温泉から遠いせいか湯は極めてぬるいです
 町の学校熱海国民学校に転入手続きをしました
 この学校は一学年一クラスで 毎朝講堂で朝礼します
 講堂のステージにはアップライトピアノがありました
 この学校には校歌があります
 歌詞を抜粋すると
 「わが高玉の小学の(この辺りは昔高玉という地名だったようです)」
 で始まり途中「五百川清しソウソウと 流れ流れて大海に」
 この部分のメロディは「ララソドミソラソファミレド」です
 地元の子供は東北誹りでタイカイニをタエカエニと歌います
 僕はタイカイニと発音できるけど ここで正しく発音しても
 無用の摩擦を起こすのでわざと「タエカエニ」と歌っています
 ーヒトツ疎開児は気遣いを本分トスへシー


太郎からl郎へ 「夏休みの宿題」

 夏休みに宿題が出されました
 「桑の木の皮を集めろ」「歴代天皇の名前を全部暗誦しろ」
 疎開児には木の皮を集めることは無理ですから 天皇の名前を選ぶしかありません
 僕は必死になって覚えました初代から三十代までを抜粋しますと
  ①神武(ジンム) ②綏靖(スイゼイ) ③安寧(アンネイ)④威徳(イトク)
  ⑤孝昭(コウショウ) ⑥孝安(コウアン) ⑦孝霊(コウレイ) ⑧孝元(コウゲン)
  ⑨開化(カイカ) ⑩崇神(スジン) ⑪垂仁(スイニン)⑫景行(ケイコウ) ⑬成務(セイム)
  ⑭仲哀(チユウアイ) ⑮応神(オウジン) ⑯仁徳(ニントク) ⑰履中(リチユウ) 
  ⑱反正(バンゼイ) ⑲允恭(インギョウ)⑳安康(アンコウ) (21)雄略(ユウリヤク)
  (22)清寧(セイネイ) (23)顕宗(ケンゾウ) (24)仁賢(ニンケン) (25)武烈(プレツ) 
  (26)継体(ケイタイ) (27)安閑(アンカン) (28)宣化(センカ) 
  (29)欽明(キンメイ) (31)敏達(ビダツ)  (32)用明(ヨウメイ)


太郎から一郎へ 「海軍の疎開」

 町のウワサは正しい
 日本海軍は船も油も無いのだ おまけに東京湾は機雷封鎖されていた
 海軍は身動きが取れないのだ
 おまけにしかもアメリカは日本が負けることを読んでいて
 東京湾の封鎖機雷は八月十五日には信管が解除されるよう設定されていたという


太郎から一郎へ 「竹ヤリ教練」

 六年生になると竹ヤリ教練があります
 校庭で竹ヤリで人を突く訓練です
 先生は敵が落下傘で降りてきたら 竹ヤリで突き殺せと言います
 これって意味があるのでしょうか


一郎から太郎へ 「竹ヤリ訓練の効果」

 みんな思い違いしているよ
 敵が武器を持たずに降下してくるなんてことはあり得ないよ
 機関銃、手榴弾、火焔放射器で重装備して降りてくる
 そんな完全装備した軍隊に竹ヤリで向かっても所詮は蟷螂の斧というものよ

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