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疎開児童から21世紀への伝言 39

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通常 疎開児童から21世紀への伝言 39

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2010/8/15 7:51
編集者  長老 居住地: メロウ倶楽部  投稿数: 4298

 最近思うこと

 去る十一月一日、田母神航空幕僚長(空幕長)が更迭されたと新聞各紙が報じ、翌二日に前空幕長の論文が公表され、その論旨を読んで驚いた。制服組トップだった前空幕長が公然と政府に異を唱え、文民統制の危機を浮き彫りにした。戦後の昭和二十三年生まれ、戦争の悲惨さを知らない前空幕長が、旧日本軍の侵略を正当化し、旧軍を美化して戦争を語るのは、倣慢の誇りを免れない。戦後日本が過去の無謀な戦争を否定し、民主国家をめざして長年の努力で、積み重ねてきた信頼を大きく損なうものである。因みに私の義兄は、昭和十三年生れで、私より若いが防衛大学五期生で海将だった。その頃まで自衛隊幹部の殆どが、過去の戦争責任の反省の上に、旧軍の独善的精神主義を排するという気風が強かったと聞く。

 その限りで、私たち市民レベルと同じ考えに立っていた。前空幕長は防衛大十五期生であるが、発足当初の基本精神を忘れ、言論の自由を履き違いしている。このような輩を選んだ、任命者の責任が問われる。ましてや前空幕長の論文は、疎開派の運動にも、いきなり頭に冷水を浴びせ掛けるようなショッキングな内容だが、所詮は自分の主張を正当化するため、自分に都合のよい記述だけ、文献をつまみ食いしたお粗末な作文に過ぎない。しかし更迭に至っても、内部で彼の権力行使に服した多くの部下の存在も無視できない。前空幕長は、自らの置かれた立場をどのように認識していたのだろうか。また今後も、海外派遣と係わりを増すことを視野に、制度の根幹と、組織のあり方を問われるべきだと思う。


  疎開問題研究会に参加して

 私は疎開中に、横浜と東京で祖母たち肉親を亡くしたが、幸いにも、諸先輩のような、敵機の攻撃に怯え、沢山の犠牲者を真の当りにするなど、戦火を潜り抜けてきたというような恐ろしい赤裸々な体験がない。足柄上郡では、敵機が七回も襲来したと聞いていたが、最奥の清水村には一度も飛来しなかったのに、実際の空襲の恐ろしさを実感したのは、前記の新潟へ再疎開のため、横浜に一時引揚げた時の夜だけだった。悲惨な戦争を体験した人や学童疎開体験をした諸先輩と仲間が、年々少なくなっている現在、学童疎開という言葉も、今に死語になるのではと憂慮される。私たち疎開派は、戦時の体制に身を置き、少年時代を過ごしてきた事実と仲間の多くが経験した貴重な体験を語り続け、過去の不幸を二度と繰り返さないよう、私も微力ながらも、色々な機会を得て、次の世代に伝えていかなければならないと思っている。

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