『肉声史』 戦争を語る (58)
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
投稿数: 4298
「潜水艦に撃沈され筏に掴まり12時間」
山北町 関 徳松(大正11《1922》年生)
(あらすじ)
学校を半年早めて昭和17年9月に卒業し、10月1日には軍隊に入隊,日本の国を守る為に頑張ろうという気持ちだった。私は航空教育隊航空士官学校で、飛行機の整備を勉強した。18年に福生《ふっさ=東京都》の飛行学校で重爆撃機のエンジンを解体し、清掃点検してまた組み立てた。自分達で整備した飛行機をテスト飛行して、エンジンが立派に始動し安全に飛行できたことが誇りだった。
19年4月28日飛行第52戦隊が編成され、私もそこへ。4枚プロペラの「疾風」《はやて=太平洋戦争時の日本陸軍の戦闘機》があった。5月7日に北九州へ転進、そこで訓練した。7月と8月にB29《=米軍の爆撃機》を2機撃墜し、捕虜となったアメリカ兵が日本より質素な服だったので、敵も苦労しているなと思った。10月8日に門司港から高雄を経てマニラへ。途中のバリンタン海峡で敵の潜水艦に攻撃され乗っていた「大博丸」は大破。海へ飛び込んで、救助されるまで筏《いかだ》につかまって12時間位浮いていた。鮫がいる海で、鮫よけの長い赤棒が筏に絡まって溺死《できし》した兵もいた。11月5日に到着し、整備に多忙を極めた。
やがて飛行機もなくなり、北進撤退命令が出た。20年1月12日、約200名の隊員が北進開始。夜間のみ行進し、疲労の限界で助けられながら何とか歩いた。食料もなくなり、現地の人からとうもろこしをもらった。
約400kmの行軍で2月3日に到着。18日には台湾へ。台湾は別天地だった。その後、内地への帰還命令が出て、4月に調布《=東京都の市》へ。そこではほとんど待機で、8月の終戦を迎えた。
(お話を聞いて)
今回、関さんの戦争体験を聞かせて頂いたが、戦争という非常体制の中では、日本国民全員が勝利のために、たとえ妻や子供がいたとしても、それらをかなぐり捨ててまで軍隊に入り、国に対して貢献しなければいけない時代があったことが、私の感覚から考えると、とても不思議なことのように思う。
今の時代、自分やその周りの人や物を、第一に考えることが当たり前の世界において、私は果たして国のために家族や趣味等、ありとあらゆることをかなぐり捨ててまで、国の起こした戦争に加担することができるかどうか考えさせられた。
また、軍隊の人が乗る戦闘用の飛行機を組み立てることに、誇りを持って作業に取り組んでいたというお話を聞かせていただいたが、現在、会社員の私が誇りを持って仕事をしているかといったら、果たして自分がそこまで意識して仕事をしているだろうかと考えさせられた。そのように思っている中で、飛行機を組み立てる作業の話を生き生きとした口調で話している関さんを見ていて、生きていることが息苦しそうな時代の中で、とても強く生きてこられたのだなあと思った。
最後に、戦争を知らない人へのメッセージの中で、関さんから、戦争の無い平和な世界はとても素晴らしいものだ。しかし、その平和を守るためにはどうしたらいいか、日本で、世界で考えてみる必要があるのではないか、という言葉を頂いた。今、日本はとても平和な世界を形成しているが、ほかの国を見ると、そうでは無い国がたくさんある。戦争を起こしている国もある中で、いかに日本は、そして世界は平和を守っていくのか、これからの将来を考えさせられるお話を聞けて、・とても有意義な時間を過ごせたと思う。
(聞き手 西川也桃 昭和51《1976》年生)
山北町 関 徳松(大正11《1922》年生)
(あらすじ)
学校を半年早めて昭和17年9月に卒業し、10月1日には軍隊に入隊,日本の国を守る為に頑張ろうという気持ちだった。私は航空教育隊航空士官学校で、飛行機の整備を勉強した。18年に福生《ふっさ=東京都》の飛行学校で重爆撃機のエンジンを解体し、清掃点検してまた組み立てた。自分達で整備した飛行機をテスト飛行して、エンジンが立派に始動し安全に飛行できたことが誇りだった。
19年4月28日飛行第52戦隊が編成され、私もそこへ。4枚プロペラの「疾風」《はやて=太平洋戦争時の日本陸軍の戦闘機》があった。5月7日に北九州へ転進、そこで訓練した。7月と8月にB29《=米軍の爆撃機》を2機撃墜し、捕虜となったアメリカ兵が日本より質素な服だったので、敵も苦労しているなと思った。10月8日に門司港から高雄を経てマニラへ。途中のバリンタン海峡で敵の潜水艦に攻撃され乗っていた「大博丸」は大破。海へ飛び込んで、救助されるまで筏《いかだ》につかまって12時間位浮いていた。鮫がいる海で、鮫よけの長い赤棒が筏に絡まって溺死《できし》した兵もいた。11月5日に到着し、整備に多忙を極めた。
やがて飛行機もなくなり、北進撤退命令が出た。20年1月12日、約200名の隊員が北進開始。夜間のみ行進し、疲労の限界で助けられながら何とか歩いた。食料もなくなり、現地の人からとうもろこしをもらった。
約400kmの行軍で2月3日に到着。18日には台湾へ。台湾は別天地だった。その後、内地への帰還命令が出て、4月に調布《=東京都の市》へ。そこではほとんど待機で、8月の終戦を迎えた。
(お話を聞いて)
今回、関さんの戦争体験を聞かせて頂いたが、戦争という非常体制の中では、日本国民全員が勝利のために、たとえ妻や子供がいたとしても、それらをかなぐり捨ててまで軍隊に入り、国に対して貢献しなければいけない時代があったことが、私の感覚から考えると、とても不思議なことのように思う。
今の時代、自分やその周りの人や物を、第一に考えることが当たり前の世界において、私は果たして国のために家族や趣味等、ありとあらゆることをかなぐり捨ててまで、国の起こした戦争に加担することができるかどうか考えさせられた。
また、軍隊の人が乗る戦闘用の飛行機を組み立てることに、誇りを持って作業に取り組んでいたというお話を聞かせていただいたが、現在、会社員の私が誇りを持って仕事をしているかといったら、果たして自分がそこまで意識して仕事をしているだろうかと考えさせられた。そのように思っている中で、飛行機を組み立てる作業の話を生き生きとした口調で話している関さんを見ていて、生きていることが息苦しそうな時代の中で、とても強く生きてこられたのだなあと思った。
最後に、戦争を知らない人へのメッセージの中で、関さんから、戦争の無い平和な世界はとても素晴らしいものだ。しかし、その平和を守るためにはどうしたらいいか、日本で、世界で考えてみる必要があるのではないか、という言葉を頂いた。今、日本はとても平和な世界を形成しているが、ほかの国を見ると、そうでは無い国がたくさんある。戦争を起こしている国もある中で、いかに日本は、そして世界は平和を守っていくのか、これからの将来を考えさせられるお話を聞けて、・とても有意義な時間を過ごせたと思う。
(聞き手 西川也桃 昭和51《1976》年生)
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編集者 (代理投稿)