『肉声史』 戦争を語る (75)
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編集者
居住地: メロウ倶楽部
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「知らずに作った人間魚雷」
城山町 秋月 怜子(昭和3《1928》年生)
(あらすじ)
女学校2、3年生の頃、農家から出征した兵士の家へ手伝いに行き喜ばれた。当時珍しい白米のお握りやさつま芋をふかしてもらった。4年生になって、地元にできた飛行機のエンジンを作る工場で組み立て班に配属された。ヤスリを持っての慣れない作業で、鉄粉が皮膚に入り石鹸等がなく粘土で洗った。皮膚が切れて痛かった。卒業式の日も午後には工場で働いた。
その後進学して、夏休みに玉音《=天皇のお声》放送を聞いた。それからは、貧しかったが友人と色んな本を読んで論議するのが楽しかった。何年か後に、私たちが工場で作っていたのは人間魚雷《=自爆することが目的の特殊な兵器》のエンジンだったと知ってショックを受けた。若い人達の命を奪う手伝いをしていたのかと、随分悩んだ。工場内にエンジンを組み立てると日の丸で消していく表があった。初めは目標を達成していたが、終わりには半分位だった。すでに敗戦の色が濃くなっていた。私達のような若い女の子が作っていたエンジンは不完全だったと思う。途中で自爆もあったと聞いて涙した。
女学校4年間勉強らしい勉強をしなかった。卒業してもむなしかった。もし戦争がなかったら勉強や遊びを楽しんだと思う。本は友達の兄に借りてよく読んだ。玉音放送はピンとこなかったが、なぜかすぐ学校へ行った。アメリカ軍に見つかったら危ないと言われて、家にあった薙刀《なぎなた》を父が処分した。今地元の中学生に戦争体験を語っている。戦争がどんなに大変なことか、絶対してはいけないと認識して生きていってほしい。
「海面に突然潜望鏡 被弾 撃沈」
城山町 山本 照夫(昭和2《1927》年生)
(あらすじ)
昭和17年2月3日海軍を受験し、3月に学校を卒業してから採用通知がくるまで、土方《どかた》や山仕事などで体を鍛えた。9月1日に横須賀の第一海兵団へ。何千人という仲間がいて、私は機関兵に編成された。制服に着替えて、新兵教育が始まった。私たちは海軍練習兵と呼ばれ、昭和16年9月から満16才以下でも海軍に入れるようになった第1期生だった。普通兵は100日で実戦部隊へ行ったが、私たちは丸1年の教育予定で、英語を含む普通学もあった。が、戦況悪化で11ケ月に短縮された。教育が終わったら、即日機関兵の為の工機学校へ。そこでも平時は6ケ月の教育が4ケ月に短縮された。昭和19年7月、広島因島《いんのしま》の日立造船所で作っている「あじろ」乗船の転勤命令が出た。機雷を敷設する任務だった。訓練が済むとすぐ横須賀防備隊付きとなり、輸送船を父島まで護衛した。父島の山は攻撃受けて真っ赤だった。
9月には父島に向かう途中、4隻の船団の間に敵の潜水艦の潜望鏡が突然出て、あっという間に魚雷が輸送船に命中し、轟沈《=砲撃などで艦船が短時間に(旧海軍では一分間以内に)沈むこと》した。すぐ自分たちの船もやられ、私は海に投げ出された。板につかまって助かったが、ひざとかかとにケガをして、甲板に寝かされて父島へ向かった。今度はB29が雨あられのように爆弾を落としてきた。身動きできず怖い思いをしたが、何とか助かった。
横須賀の海軍病院等を転々とし、退院後は横須賀海軍防備隊へ。
終戦後は、志願兵は解散せず敷設した機雷の除去作業に当たった。東京湾を皮切りにアメリカ船から燃料をもらって、九十九里浜、八丈島周辺、御前崎で任務遂行。大阪湾から和歌山、浦賀、宗谷海峡へも行ったのだった
城山町 秋月 怜子(昭和3《1928》年生)
(あらすじ)
女学校2、3年生の頃、農家から出征した兵士の家へ手伝いに行き喜ばれた。当時珍しい白米のお握りやさつま芋をふかしてもらった。4年生になって、地元にできた飛行機のエンジンを作る工場で組み立て班に配属された。ヤスリを持っての慣れない作業で、鉄粉が皮膚に入り石鹸等がなく粘土で洗った。皮膚が切れて痛かった。卒業式の日も午後には工場で働いた。
その後進学して、夏休みに玉音《=天皇のお声》放送を聞いた。それからは、貧しかったが友人と色んな本を読んで論議するのが楽しかった。何年か後に、私たちが工場で作っていたのは人間魚雷《=自爆することが目的の特殊な兵器》のエンジンだったと知ってショックを受けた。若い人達の命を奪う手伝いをしていたのかと、随分悩んだ。工場内にエンジンを組み立てると日の丸で消していく表があった。初めは目標を達成していたが、終わりには半分位だった。すでに敗戦の色が濃くなっていた。私達のような若い女の子が作っていたエンジンは不完全だったと思う。途中で自爆もあったと聞いて涙した。
女学校4年間勉強らしい勉強をしなかった。卒業してもむなしかった。もし戦争がなかったら勉強や遊びを楽しんだと思う。本は友達の兄に借りてよく読んだ。玉音放送はピンとこなかったが、なぜかすぐ学校へ行った。アメリカ軍に見つかったら危ないと言われて、家にあった薙刀《なぎなた》を父が処分した。今地元の中学生に戦争体験を語っている。戦争がどんなに大変なことか、絶対してはいけないと認識して生きていってほしい。
「海面に突然潜望鏡 被弾 撃沈」
城山町 山本 照夫(昭和2《1927》年生)
(あらすじ)
昭和17年2月3日海軍を受験し、3月に学校を卒業してから採用通知がくるまで、土方《どかた》や山仕事などで体を鍛えた。9月1日に横須賀の第一海兵団へ。何千人という仲間がいて、私は機関兵に編成された。制服に着替えて、新兵教育が始まった。私たちは海軍練習兵と呼ばれ、昭和16年9月から満16才以下でも海軍に入れるようになった第1期生だった。普通兵は100日で実戦部隊へ行ったが、私たちは丸1年の教育予定で、英語を含む普通学もあった。が、戦況悪化で11ケ月に短縮された。教育が終わったら、即日機関兵の為の工機学校へ。そこでも平時は6ケ月の教育が4ケ月に短縮された。昭和19年7月、広島因島《いんのしま》の日立造船所で作っている「あじろ」乗船の転勤命令が出た。機雷を敷設する任務だった。訓練が済むとすぐ横須賀防備隊付きとなり、輸送船を父島まで護衛した。父島の山は攻撃受けて真っ赤だった。
9月には父島に向かう途中、4隻の船団の間に敵の潜水艦の潜望鏡が突然出て、あっという間に魚雷が輸送船に命中し、轟沈《=砲撃などで艦船が短時間に(旧海軍では一分間以内に)沈むこと》した。すぐ自分たちの船もやられ、私は海に投げ出された。板につかまって助かったが、ひざとかかとにケガをして、甲板に寝かされて父島へ向かった。今度はB29が雨あられのように爆弾を落としてきた。身動きできず怖い思いをしたが、何とか助かった。
横須賀の海軍病院等を転々とし、退院後は横須賀海軍防備隊へ。
終戦後は、志願兵は解散せず敷設した機雷の除去作業に当たった。東京湾を皮切りにアメリカ船から燃料をもらって、九十九里浜、八丈島周辺、御前崎で任務遂行。大阪湾から和歌山、浦賀、宗谷海峡へも行ったのだった
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編集者 (代理投稿)